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『マルセイヤンに行きます~』とフランス人のガイドさんに言われ、マルセイヤンって、「竹やん」・「金やん」、はたまた"おてもやん"的な、まるでマルセイユのあだ名みたいな名前だけど、どんなところ?と半信半疑なまま、前回ご紹介したセートからバスで揺られる事30分。トー湖に沿ってちょうど半周して到着した町は、歩いている人がいないくらい静かな場所。
まずは、ジェームスボンドが愛するカクテルの王様、マティーニにかかせないドライ・ベルモットを1855年から製造・販売しているノイリー・プラット社へ!ピンとこない方も、このボトルに見覚えはありませんか?
敷地内に中庭にずらーっと置かれた樽には圧巻なのですが、よくみるとサイズがまちまち。というのも、ノイリー・プラット社でつくるドライ・ベルモットの樽は、新品ではダメなそうで、コニャックなどいろいろなお酒を造った樽のお古を使うんだとか。もちろん樽の味が残らないよう、ちゃんと洗ってから使うそうです。訪問した日には、コルシカからきた樽がありました。
見学はこの大きな樽が並ぶ薄暗い部屋から始まります。おしゃれなランプがあって、さすがの演出。樽の正面にある横2本の板は、発酵により形が変わる樽の変形を防ぐためのもの。縦の棒の1番下には蛇口がついています。この樽、非常に大きくて、樽の上から確認ができるよう、天井に近い部分の壁には廊下が通っています。
樽の見学の後は、香りの説明や道具、ノイリー・プラット社の歴史などの見学コースがあり、最後はまるでバーのような雰囲気の場所で、4種類のノイリー・プラットを試飲します。最初にご紹介した緑のボトルのものがドライでスタンダードなものですが、マティーニ好きなアメリカ人のリクエストに答えて、さらに辛口なエクストラ・ドライも発売したんだとか。ジェームス・ボンドには、超辛口が合いそうですよね。それにしても、エクストラ・ドライはかなり辛口で、個人的にはスタンダードな味が好みでした。
カクテルの王様の城を後にして向かったのは、『海の農場』という名前のレストラン。ここの名物はなんと“牡蠣の食べ放題”!! 店内に入ると、びっくりする量の生牡蠣が、もちろん殻つきでところ狭しと用意されています。牡蠣の段々畑状態。
子どもの頃から、生牡蠣はおいしいけれど、食べ過ぎてはいけないと教えられていたので、こんなに食べて大丈夫?と心配になりますが、フランス人は生牡蠣が大好き!というわけで、今回はフランス人にならい、ちゃんとワインもいただきながら、生牡蠣を堪能です。
他にも茹でたエビや、セートの名物ティエルなどもあって、飽きさせません。生牡蠣の食べ放題なんて、鮮度の管理とか大丈夫なのか気になりますが、どの牡蠣をみてもキラキラしています。お店の人が気を使っているのはもちろんの事、この牡蠣はお店の目の前で採れたもの。もう鮮度が違います。
ちょっと珍しいものでは、“海のカタツムリ”という名前の貝がありました。つぼ貝よりふた周りくらいちっちゃい貝といった感じです。
フランスの牡蠣といえば、カンカルやアルカッションなど、大西洋のものが有名ですが、この地中海の牡蠣が最近パリの有名シェフに人気なんだとか。トー湖で牡蠣を養殖している生産者の人の話しによると、フランスではなかなか牡蠣=大西洋で、地中海の牡蠣など見向きもされなかったそうですが、そのおいしさに気がついたシェフがジワジワと増え、今ではパリの星つきレストランにも卸しているのだとヵ。私達が訪問した日は、クラシックカーの愛好家のムッシュー達が、愛車でこの“海の畑”に乗り付けていました。
わざわざ足を運ぶ価値のある、フランス南西部の静かな町。ジェームス・ボンドがこっそりバカンスを過ごしていそうな町です☆(鮎)
生牡蠣とカクテルに酔いしれる町・マルセイヤン
2019-06-15
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