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ロダンは、1917年11月17日、77歳でパリ郊外のムドンにあった自宅兼アトリエでなくなりました。2017年は彼の死後100周年記念にあたり、グランパレでは彼の100周年展が開催されています。
この展覧会では、彫刻の分野でさまざまな新しい試みを行った世界的に有名な彫刻家であったロダンの主要作品と、その作品にインスピレーションを受けた20世紀の芸術家たちの作品が並列され、いかにロダンの精神が近代彫刻に影響を与えたのかということがよくわかります。
1900年よりロダンは彫刻の分野でさまざまな新しい試みを行いました。
旧来のアカデミック芸術が身体の理想像を彫刻で表現しようとしていたのに対し、ロダンが彫刻で目指したことは、「身体を語らせること」でした。情熱がほとばしる場所として身体を表現すること。理想的な身体ではなく、情熱的な身体。これが、ロダンの求めた彫刻でした。
ロダンの彫刻といえば、やはり、これでしょう。『考える人』です。
ミケランジェロの彫刻のように発達した筋肉。眉間には深いしわが刻まれています。右ひじは、左ひざの上に置かれていることが重要です。身体にひねりを入れることで、考える人の苦悩を表現しています。
この彫刻はロダンの最高傑作の『地獄の門』の一部として構想されたものですが、それ自身が独立した作品となっています。作品の一部が、新たに新しい作品になった一例です。
ロダンは個々の彫刻を自在に組み合わせ、新しい作品を作った人でもあります。
例えば、これは、岩場に座る裸婦。
そして、こちらの岩場に座る裸婦は、もう一人の裸婦が組み合わされ、さらに本物の枯れたヒイラギが付け加わっています。
一つの完成した作品を別の作品と組み合わせることで、また新しい一つの作品を作ったのです。
彫刻の中に、現物のヒイラギが入っているのも新しい発想です。彫刻とは、「粘土で別の何かを表現ですもの」であるはずが、「表現されるべきもの」がそのまま作品の一部となってしまっているのです。ピカソは、『アブサント』というグラスにお酒が入った作品を彫刻で作りましたが、そこでも実際のスプーンが彫刻のなかに組み込まれていました。ロダンは、ピカソの先駆であったともいえます。
それが発展して作られたのが、この作品。
ロダンがコレクションしていた古代の壺に、そこから出てくる裸の女性をつけたしています。彫刻の材料は、大理石、ブロンズだけと考えていた伝統的な発想から一歩抜け出ています。
またロダンは、体の一部のみを取り出すことで、その部位に別の意味を持たせた芸術家でもあります。
『歩く人』は、頭、腕が欠如しているにもかかわらず、そのダイナミズムを感じます。手前はジャコメッティーの彫刻ですが、ロダンの影響がわかりますね。
フランスでは、5月24日からジャック・ドワイヨン監督による映画『ロダン』も公開になりました。今フランスでは、ロダンが熱い!
渦
ロダン没後100周年記念展@グランパレ
2017-05-29
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