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20世紀フランスで活躍した建築家オーギュスト・ペレ Auguste Perret の代表作のひとつ、ル・ランシー le Raincy にあるノートルダム教会に行ってきました。
オーギュスト・ペレは、鉄筋コンクリートによる建築を世に広めた近代建築史上重要な人物で、ノルマンディー上陸作戦で破壊されたル・アーヴルの都市再建の重要な役割を担った建築家。ペレはル・アーヴルの都市計画において、鉄筋コンクリート構造の新しい技術を用いて芸術的な表現を追求し『オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーヴル』としてユネスコの世界遺産にも登録されています。
そして、あの近代建築の巨匠ル・コルビュジェに多大な影響を与えたといわれているのがこのオーギュスト・ペレ。それもそのはず、ル・コルビュジエはペレの建築事務所に入って経験を積み、師として仰いだのがこのオーギュスト・ペレなんです。
そのペレの代表作ともいえるのが、このル・ランシーにあるノートルダム教会。
外観は灰色のコンクリート造。ちょっと堅い、シンプルな構造に見受けられましたが、一歩中にはいるとその印象は一瞬で吹き飛ばされました。天井以外三方の壁を埋めつくすステンドグラス、そしてそのステンドグラスを通して差し込む緩やかな外光が内部をやさしく照らします。光の壁面は、入口付近は黄色、徐々に内陣に近づくにつれて、ピンク、赤、紫と変化していき、そして内陣の美しい青色へと続きます。太陽の光が様々な色に変化し、教会内部はどこの場所も多彩な光で満ち溢れています。
このノートルダム教会、「コンクリートのサントシャペル」とも呼ばれています。一見冷たいコンクリートの外装からは想像もつかないような、光溢れる空間が内部いっぱいに広がり、内部は軽やかでやさしい雰囲気を醸し出しています。本当に美しく、きれいです。
通常のステンドグラスはガラスとガラスの間に残る黒い輪郭によって支えられていますが、この教会では、幾何学模様のステンドグラス、格子の仕切りもコンクリートで造られています。
ル・ランシーは第一次大戦後労働者人口が急激に増え、彼らの癒しの場として、街がペレに教会建築を依頼しました。通常教会建築には莫大な費用と時間がかかりますが、ペレは通常よりもずっと低予算でかつ13か月というおそろしいスピードで完成させました。それもやはり、シンプルな構造と打ちっぱなしのコンクリート建築のおかげによるもの。地震がないフランスだからこそ、細い円柱で天井を支えることができるんですね。
鉄筋コンクリートの質素な天井に、光り輝く網目状のステンドグラス。色とりどりに光が踊る、この広い空間の明るさは、宝石箱のような美しさです。まさに芸術品。バカラ村のサン・レミ教会にも少し似ているなという印象です。
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(城)
オーギュスト・ペレの最高傑作! ル・ランシー ノートルダム教会
2017-04-19
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