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それでは、前回のブログ続きで、クスミティーの歴史の話。
クスミティーの現代の成功は、創業者クスミチョフ家とはまったく別の人物の情熱がこの150年の歴史と交差することで生まれました。
もう一つの物語は、コーヒー、カカオの輸入業者だったシルヴァン オルビがクスミティーの魅力に恋することから始まります。
シルヴァン オルビはコーヒーのブランドで働いていましたが、大手ブランドに押しやられる現状をみて、ブランドにコーヒー豆を卸す輸入業に参入します。かれは、焙煎前のコーヒー豆を輸入する古い会社を兄弟とともに買い取りました。
そこでシルヴァンがたまたま出会ったのが、お茶でした。ブレンドをすることによって無限の可能性を秘めたお茶の世界に魅了されます。
さらに、彼にはお茶の業界の形態がいまだ1930年代のままでとどまっているように見えました。彼の兄がコーヒーの輸入業を続ける傍ら、このお茶の業界に革新を起こせないだろうかと考えます。というのも、フランスでお茶のマーケットといえば、老舗「マリアージュ フレール」の独占状態で、参入するには絶好のチャンスでした。
シルヴァン オルビはここでマリアージュ フレールに対抗できるブランドを作ることを決心します。そこで、彼が出会ったのがクスミティーのブランドでした。かれは、クスミティーのトレードマークでもあるあのかわいらしいパッケージに恋に落ち、2003年にブランドを購入します。そして、クスミティーの経営形態を1から作り直します。
高級茶のブランドを確立している老舗マリアージュ フレールに対抗するために、クスミティーがとった戦略は、「現代性(モデルニテ)」。19世紀のお茶のイメージから抜け出て、いかに21世紀のお茶のイメージを作り上げていくかでした。
ロシアの皇帝ツァーが飲んでいたお茶を再現するのではなく、19世紀のティータイムを復活させようとするのではなく、おしゃれと健康を気にする女性達(お茶の消費者の75%が女性!)が朝食、ワーキングタイム、あるいは就寝まえに飲みたくなるようなお茶をいかにプロデュースするか。これが、クスミティーの狙いでした。
そこでうまれたのが、緑茶をベースにしたDETOXや、紅茶にさまざまなスパイスをブレンドしたSWEET LOVEなどの今までになかったラインナップです。
これらのお茶をつい手が伸びてしまうようなかわいい、カラフルでポップなパッケージに仕上げました。まさに友人へのお土産としてぴったりなパッケージです。
このパッケージイメージで目指したのは、コスメティックの商品。活動的な女性達が使っている、あるいは興味のあるコスメ商品と同じようなイメージで商品を展開しました。載せたい雑誌も、料理関係よりも、Vogue、Glamour、 Marie-Claire あるいは Elleのようなファッション誌です。人気女優、タレント、トップモデルが愛用しているおしゃれで洗練されたお茶をめざしました。
さらに、今では、 Jean Paul Gaultierとコラボした商品も登場しています。
進化をし続けるクスミティー。日本にクスミティーの自動販売機ができるのも近い?
渦
クスミティーの150年の歴史とお茶業界の革命児シルヴァン オルビ
2017-04-03
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