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サンチアゴデコンポステーラの巡礼路の途上の町、ナバランクスNAVARRENXで泊ったGITE(民宿)は忘れられない思い出です。
NAVARRENXは、アキテーヌ地方のピレネーアトランティック県にあり、フランスの最も美しい村にも選ばれています。
町は城壁に囲まれた美しい村です。散策には1時間もあれば十分。
そこで、巡礼者を受け入れているGITE(民宿)は数軒ありますが、そのなかでも錬金術師と名前が付いたL’ALCHIMISTEという場所は特別な場所です。
まず、料金がありません。「ドナチボ」といって、自分が好きな金額を「お布施」するのです。あらゆるサービスに値段が付いた社会に住んでいる私たちにとって、値段がない、ということはその時点で非日常です。大体、25から40€が相場ですから、そのぐらいの料金を入れるわけですが、もっと少なくても、多くてもいいのです。入れなくとも、別に怒られません。
この民宿では、ボランティアの若者が働いています。マニュエルという青年です。パリ出身の青年は、この巡礼路を歩き、たまたまこの民宿に泊まったそうです。その時の居心地が忘れられず、巡礼路を歩き切ったあと、またこの民宿にもどってきて、ボランティアとして働いているのだそうです。ここに住み込み始めて、2年になるといっていました。
レアという女性も、ボランティアとして働いています。彼女も、ここの雰囲気に魅せられ、戻ってきた一人です。ここには、若者を引き付けてやまない何か特別なものがあるのです。
彼らは非常に献身的です。特別なことをしてくれるわけではないですが、歩き疲れてくたびれた私たちの話を聞き、食事を作ってくれて、汚れた服を洗ってくれます。私が日本人なので、こんなサラダを作ってくれました!
彼らのこれらサービスは、無償です。値段がついていないからです。無償だからこそ、愛を感じます。その無償のサービスに対して、私たちは感謝という意味でお布施をします。特定の宗教がまったく介在することなしに、このような世界が作られている場所です。
このL’ALCHIMISTEの民宿の主は、Jean-Gaétan Pélisseというアーティストです。彼のアトリエが民宿となっています。民宿のいたるところには彼の作品があります。
彼は詩人でもあり、人生の教訓を小さな看板に書き、部屋のいたるところに張っています。
いつかまた戻ってみたいと思わせる場所です。
L'ALCHIMISTE
Maison Philosophale
10 rue de l'Abreuvoir 64190 Navarrenx
渦
サンチアゴデコンポステーラの巡礼路で泊った忘れられない民宿 L’ALCHIMISTE
2015-10-05
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