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    絵画のない展示会


    2018-07-17

  • ルーブル美術館を見学していたら、絵画のない展示会がやっていました。

    絵画のない、額縁だけが展示されていますが、実はこれ、額縁の展示会です。

    ルーブルの絵画部門では、3000もの額縁のストックがあるそうです。それらのストックは、別の額縁に取り換えられたときにストックされたものもあれば、ルーブル友の会の寄付金からルーブルが額縁を購入することもあるそうです。

    額縁のコレクションの重要性は、その時代により流行の形があるからで、絵画の描かれた時代に作られた額縁に入れるためには、さまざまな額縁をストックしておく必要性があるのだそうです。

    例えば、下の写真、右の額縁にご注目ください。

    こちらはルイ14世時代の額縁。

    フランス絶対王政の黄金時代、ベルサイユ宮殿の時代ですが、壮大な国家計画に基づいた格式ばった絵画が描かれた時代です。イタリアのバロック様式に対抗して、フランスでは厳格な美的規則に則った古典様式を発達させた時代でもあります。描かれた絵画も、歴史画、神話画、宗教画が中心で、いわゆる「まじめ」な絵画が中心。

    そのため額縁も、とてもまじめな印象。

    一方、左側の額縁。こちらは、ルイ15世時代の額縁。ルイ14世が崩御した後、肩の力が抜けた絵画が出始めます。宮廷生活の華やかさ、恋愛などが多く主題になったのがこの時代で、ロココ様式、あるいはロカイユ様式などといいますが、額縁も、優雅で遊び心満載。惚れた、張ったの恋物語、妖精に扮した愛人の裸婦画などが多く作れれるために、フォーマットも小さめが多いのが特徴です。

    別様に言えば、装飾過多で「ふまじめ」。ヴァト―、ブシェールなどが代表的な人物です。

    [みゅう]パリ 美術コラム 『シテール島の巡礼』 ヴァトー

     

    こちらは、ルイ16世時代。ルイ16世統治の後期にはフランス革命の時代になりますが、ここで流行ったのは、楕円形の額縁。そこに、植物、花が装飾されています。

     

     

    一方こちらは、オランダで使われていた額縁。

    たしかに、フェルメールの絵画にはこのような額縁が使われています!

    敬愛する西岡文彦氏も『五感でわかる名画鑑賞術』のなかで額縁に注目することで美術館鑑賞がもっと楽しくなると解説しています。画集・美術書では完全にカットされてしまう額縁は、美術館でしか見ることのできないものだと。

    美術館で絵画鑑賞、ももちろんですが、美術館で額縁にも注目すると、一層鑑賞が楽しくなりますね。


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