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フランスの国土のほぼ中心に位置するイオンヌ県。その件には、現在も70人ほどの職人たちによって建築進行中の中世の城塞があります。ゲドゥロン城です。
現在建築中にもかかわらず、中世の城塞?いったいどういうことなのかというと、今から20年ほど前のこと。そこからそれほど離れていない場所にあったサン・ファルド―城で専門家による調査がおこなわれました。そして、城の下には13世紀に作られた城塞が埋まっていることが分かったのです。20年の間古城の修復にかかわってきた経験を持つ城主ミッシェル・ギオ氏はその城塞を再現することにします。ただし、ただ再現するのではなく、当時その城が作られただろう仕方で再現することにしたのです。
つまり、1995年に建築工事が始まったゲドゥロン城は、21世紀の科学技術が誇る重機を一切使わず、13世紀に存在しえたもののみで城塞を建築しているのです。
城塞の材料は、切り石、木、モルタル(石どうしをつなぎ合わせる接着材)、土などなど。石切り場では、つるはしで石切り職人が石を削り取り、それを石工が加工しブロック状にします。モルタル職人が石灰と粘土を混ぜて作ったモルタルと切り石を使って壁を作っていきます。
石工は、必要な形に石を刻んでいく。
屋根を組むのは屋根職人です。瓦職人が粘土から作った瓦で屋根をふきます。道具に使われる金具、ハンマーなども鍛冶職人が作ったもの。木材は、木こりがすぐ隣の森から切り出してきたもの。工事につかわれる綱なども綱職人が全て編んだものです。
この道具は、壁が平行であるかを調べるため。三角形の頂点からは、紐にくくられた鉛の矢印があり、それがちょうど真下に来ると壁が平行であることを示す。
13世紀の工事スピードに比べると、建築ははなかなか進みません。なぜならば、13世紀に使われた建築技術は、科学技術の発展とともに失われてしまったからです。ゲドゥロン城の職人たちは、その一つ一つを再発見していかねばいけませんでした。そう、この城塞を13世紀の技術で再現することの目的は、13世紀の築城技術を再発見することなのです。
そのため、この城では将来城塞修復の専門家を目指す若者の研修場所にもなっています。
もう一つの目的は技術の解説。70人の職人たちは築城をするとともに、自分がどのような道具で、どのように作業をしているのか常に説明してくれます。彼ら職人は、当時どのように働いていたからを解説するガイドでもあるのです。
ヨーロッパの歴史好き、とくに中世ファンには、絶対外せない観光場所です!
渦
Guédelon Castle
89520 Treigny, France
21世紀に建築進行中の中世の古城
2017-07-10
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