-
ドイツは10月末から冬時間に変わり、日没時間が早まり、18時前にはもう真っ暗です。この時期のイベントはランタンを燈し、子どもたちが町を練り歩いてお菓子をもらえるといえば、日本では、ケルト文明のハロウィーンが有名ですが、同じくランタンとお菓子がつきものの聖マルティンの日(St.Martinstag)というお祭りがあります。
毎年11月11日に行われるこのお祭りは、日本人には馴染みが薄いのですが、ドイツの子どもたちにとっては、待ち遠しい一大イベントのひとつです。
写真提供: Uwe Zucchi
この日に向けて、幼稚園や学校でランタンを手作りしたり、パンを焼いたり、聖マルティンにまつわる寸劇の練習にと大忙しです。
自慢の手作りランタンをお披露目する晴れ舞台の提灯行列に参加するのは、小学校1~2年生くらいまでの小さな子どもたちですから、
それはもう かわいらしいことこのうえない。写真提供: imago stock & people Hamburg.de
ザンクト・マルティン(=聖マルティヌス)/ St.Martinはローマ軍の兵士でした。
フランスの北部の町アミアン(Amiens)に派遣されていたある日のこと、城門を通りかかると裸の乞食に出会いました。
真冬の厳しい寒さの中で凍える物乞いに何もあげる物を持ち合わせていなかったマルティンは、まとっていたマントを2つに引き裂いて、その半分を彼に与えました。 その夜、眠りについたマルティンは、物乞いに与えたマントを身に着けたイエス・キリストの夢を見ます。そして物乞いがイエス・キリストであったことを悟り、直ぐに洗礼を受けました。
その後、トゥールの聖マルティヌスとして、数々の奇跡を起こし、
フランスのみならず多くの人々の崇敬を集め、キリスト教の守護聖人の一人となったのです。ヴァン・ダイク 『マントを分け与える聖マルティヌス』
お祭りは日が沈んで辺りが暗くなり始める頃、教会のミサから始まります。ミサでは、子どもたちが演じるの聖マルティンの名場面が上演されます。はにかみながらも、つつがなく練習の成果を発揮できた子どもたちに拍手喝采です!
ミサが終わり、いよいよ提灯行列が始まるころには外はもう真っ暗です。 この行列のことをドイツ語でLaterneumzug(ラテルネウムツーク)と言い、Laterne(ラテルネ)とは提灯のことです。
白馬にまたがる聖マルティンが先導する後を小さなこどもたちが
思い思いのデザインに型取られた手作りランタンを片手に、歌を歌いながら続きます。写真提供:Hans-Juergen Bauer
お店や家を回っては歌を歌い、ご褒美にお菓子をもらいます。
提灯は手作りが主ですが、お店でも売っています。そして、クライマックスは焚き火!
写真提供:Wikipedia
この日に因んでパン屋さんに登場するのが、パイプを加えた人型パン
シュトゥーテンケアルStutenkerlとかヴェックマンWeckmannとか
地方によって色々な名前で名前で呼ばれています。
パイプは陶器で出来ていて、やわらかく甘みのある白パンです。 なんだか宇宙人みたいですが、中世には、教会の聖餐の代わりとして提供されていた聖なる食物です。またこの日には、ガチョウをいただく習慣があります。
クリスマスディナーの食卓にガチョウが上がるご家庭も多いので、
この時期の市場やスーパーマーケットの陳列棚には、ガチョウが幅を利かせています。レストランでは、聖マルティンの日を皮切りにクリスマスシーズンにかけて、ガチョウをメインディッシュとした特別メニューを用意しています。
写真提供:Wikipedia
ガチョウ一羽をまるごと提供するところが多いですが、Speisekammer
Alt Heddernheim 41, 60439 Frankfurt am Main
http://www.speisekammer-frankfurt.de/speisekarte/
手軽に一人前をいただけるお店もあります。Apfelwein Solzer
Bergerstraße 260, 60385 Frankfurt am Main
http://www.solzer-frankfurt.de/speisekarte.htm是非、お試しくださいね。
聖マルティンの日は冬の訪れを告げ、この日から待降節=アドベント/Advent(イエス・キリストの降誕を 待ち望む期間)が始まります。
じわりじわりと指折り数えながら… クリスマスはもう直ぐそこまできています!!また弊社ではフランクフルトとミュンヘン発で日帰りクリスマスツアーを販売しております。是非ご参加ください。
光の行進 聖マルティンの日
2016-11-14
最新記事