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なぜなのか?少しづつ紐解いていきましょう。
メッセルは、フランクフルトから南東35KM、RB(普通電車)で、一度ダルムシュタットなどの主要駅で乗り換え約40分程。一時間に一本しかないので要注意。メッセルの駅は無人駅で、こんな感じ。
化石の看板がお迎えしてくれました。これはウマの祖先ユーロヒップスの化石をモチーフにしています。
駅からRoßdörfer Straße(ロスドルファー ストリート)をまっすぐ。約2㎞以上ありますが、ここからは歩くしかありません。2010年にオープンしたばかりのビジターセンター正面のデザインは、オイルシェールの地層。
まずは、レジで支払い。1時間の初心者用ガイディングツアーと、ビジターセンター内展示室入場料コンビチケットで大人14€。発掘現場は個人で見学することができず、ガイディングツアーに参加する必要があります。この採掘場は、60mの高低差があるため、ガイディングツアーには、スニーカーなどの履き慣れた靴が必須。鉄柵をくぐると、始新世の時代へタイムスリップ。
一帯の主な岩石はオイルシェール(油母頁岩)で、100年で1cmという速度で、泥と枯れた植物が湖底に無酸素状態でゆっくりと堆積したものです。しかし、雨風にさらされ風化すると紙屑のように剥がれてしまうほどもろく、採掘が困難な地層です。
第一次世界大戦に突入する前に、ここから石油を採取する目的で鉱山開発が始まり、一時は、全ドイツの30%をメッセルで担っていたといわれるほど。第2次大戦中には、豊富な化石産出が注目され、資源試掘が行われていました。1970年代、その採掘跡を利用し、ゴミ処理場の建設計画がありましたが、市民の反対運動等により中止となりました。
露天掘りの採掘場は地下60 m ほどのところに約1㎢に広がっています。
さて、ガイディングツアーの後は、ビジターセンター内展示室を見学。
メッセル・ピットは、3億年以上も前の火山の爆発でできたクレーターが、やがて火口湖となり、この火口湖は流出する河川のない火口湖だったため、湖の表層には藻類が繁茂し、富栄養状態にあり、湖底にはその死骸が溜まって、表層以外は常に酸欠状態にあり、そのため、化石が腐敗することなく質の高い状態で保存されていました。
しかも、始新世のヨーロッパ大陸は北大西洋での海底火山活動や、それに伴う温暖化ガスの大量放出により、高温期を迎え、湿度も高く、かなりの亜熱帯環境にあり、気候も生態系も現在とはずいぶん違っており、湖畔にはびっしりと樹木が繁茂し、信じられないほどの生物多様性が育まれていました。例えば、ウマ科の祖先(ユーロヒップス)
復元すると、こんな感じ…。現在の馬とは相当違いますね。短足で、今のように、ギャロップ出来なかったそう。
ワニの化石。
コウモリの化石。翼までしっかり確認できます。素晴らしい保存状態。
40,000 点以上の様々な化石が発掘され、世界で最も化石の保存状態が良いとして、1995年、ユネスコ世界自然遺産に登録されました。自然遺産としてはドイツ初、ドイツ単独のものとしては唯一の自然遺産です。
ぜひ、4800万年前に登場した、生物たちの壮大なロマンに触れてみてください。
ビジターセンター 開館時間 10:00 - 17:00 (最終入場 16:00)
ガイディングツアーは、初心者用1時間、その他2時間コースもあります。すべて事前予約制。下記ホームページ参照。
ドイツは亜熱帯気候?~世界遺産メッセル・ピットの化石たち~
2017-11-10
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