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日没がとっても早いクリスマスの時期のある木曜日の午後、セラルボ美術館を訪ねました。
17h00の開館時間まで時間を潰すため、スペイン広場からすぐの美術館へ向かう途中、カルメリータ・デスカルサス修道院のドームを眺めたり、デボ神殿の周りを歩いたりしました。
マドリッドの西にある丘に建つデボ神殿、眼下にカサ・デ・カンポの広大な緑地を見下ろし、地平線に沈む夕日が綺麗な場所ですが、あいにく雲がいっぱい。でも、丘から望む王宮や西の地平線はとても綺麗。
通常午前中しか開かないセラルボ美術館、木曜だけ特別に午後17時~20時に開けてくれます。17h00になったので入場します。
セラルボ美術館正面入り口
第17代セラルボ侯爵、エンリケ・デ・アギレラ・イ・ガンボア氏(1845-1922)は多くの爵位を持つ非常に裕福な貴族で、19世紀後半に活躍した政治家であり歴史家、そして多くの考古学発掘を支援した人でした。
館のエントランス
この美術館は、19世紀末芸術の粋を集めた建築様式や装飾で造られた貴族の邸宅をオリジナルのままの姿で残す非常に稀なケース。
居住スペースだったフロア(1階)への入り口
1階にある武具展示スペース
1階にあるプライベートなスペース
ヨーロッパを旅する時間が多く、家族と過ごす家はスペイン国境に近いフランスの街、ビアリッツにあった侯爵、マドリッドのこの館は膨大なコレクションの展示と、当時のセレブを招いてパーティーなどを開催するための社交の場として造ったと言われています。
2階はセレブを招いて様々なイベントを開催した社交の場。
壁に嵌め込まれた大きな鏡と豪華なシャンデリアが創り出す夢のような空間
セレブたちがダンスをした舞踏の間
時の名士たちが語り合ったサロン
ここにも美しいシャンデリアと鏡が創り出す空間
邸宅は侯爵自らが指揮を執り、古典主義、折衷主義、新古典主義、ロマン主義を取り入れ、当時の著名建築家3名に依頼して1883-1893にかけて建造したもの。邸宅の中には、装飾芸術品、ジュエリー、イラスト、版画、彫刻、絵画(エルグレコ、スルバラン、ティントレット、ヴァン・ダイクなどの巨匠の作品も含まれる)など、歴史と芸術に造詣の深かった侯爵が集めた多岐にわたるコレクションが見られます。
1922年に他界した侯爵が生前に用意していた遺書に従って、1924年に邸宅とその膨大なコレクションのすべてが国家に寄贈され、1934年にセラルボ美術館財団設立、1944年に美術館として公開開始。現在はスペイン政府文化スポーツ省に属す国立美術館となっています。
ロマン主義の庭園
外観からは想像もできない、繊細で華麗で豪華な宝石箱のような世界を体感することができる空間です。入場料も3ユーロととても良心的。私が訪れた時は一部公開できない場所があるとのことで、なんと入場が無料でした。
是非お勧めしたい、モニュメントです。
Lucymama
【マドリッド】 セラルボ美術館 ~19世紀末の貴族の館にタイムワープ~
2020-12-28
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