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8月初め、熱波のマドリッドを逃れて、サラマンカ県の山間の村、カンデラリオに行ってきました。
ここはスペインで最も美しい村のひとつと言われています。
マドリッドから車で2時間ちょっとでたどりつけるこの村は、一年のほとんど雪を頂く2000メートル級のベハール山地の麓に位置し、標高は1100メートル、村自体が山すその斜面にあるので、とにかく坂道だらけ。
冬は寒く、雪が多いこの村、山から湧き出る泉が至る所にあり、水が豊富。村の主要な道路にはレガデラとよばれる水路が道に沿って造られ、こんこんと水が流れています。
通りに沿ってあるレガデラ(水路)
そんなカンデラリオはこの地方の多くの村や町と同様、その主要産業は養豚とその豚を利用した生ハムや腸詰類の製造でした。
坂道に沿って建つ伝統的な家屋の多くは3階建てで、1階は広いパティオのある中庭が腸詰類を造る作業場、2階が住居、3階は倉庫や腸詰類を干すためのスペースだったとか。これら家屋には雪をよけるための庇や、腸詰を吊るすためのバルコニーがあるのが特色。
民家のパティオ、今はこんな素敵な中庭。
バルコニー、今は腸詰ではなく花が溢れています。
また、めずらしい、瓦で覆われた壁もあちこちに見えますが、冬に風雪が当たる方向の壁を護るためのこの地方ならではの生活の知恵なのだそうです。
もうひとつこの村で目を引くのが、各家の入口にある特徴的なドア。バティプエルタとよばれるこんな形のドアが、普通の玄関ドアの外側に設置されています。現在はあくまでも伝統を伝える建築装飾のひとつとして残っているもので、玄関を開けてこの扉だけを閉めておけば風通しもよいし、素敵なパティを外から観ることができるのですが、元々は一体何のために使われていたのでしょう?
かつて、マタンサと呼ばれる伝統的な豚の賭殺を村人たちが協力して村の路地で行っていた頃、暴れる豚たちから身を護るためにの盾(ブルラデロ)の役割を果たしたのがこのバティプエルタだったのだそうです。道に沿って造られているレガデラも賭殺の血を洗い流すために作られていたのだとか。伝統的なマタンサは現代の動物愛護の考えとは相容れないものかも知れないけれど、寒さが厳しく、雪の多い山間地の生業には欠かせないものだったはず。
村のシンボルとなっているのが、この小さな教会、エルミータ・デル・クリスト・デ・レフヒオ。村の入り口に建っています。
ここから山に向かう上り坂がこの村のメインストリート、マヨール通り。
突き当りに建つのが村役場。その上にあるのがアスンション聖母教会。
立ち寄ったバルやレストラン、どこも人が親切で、料理も美味しかった!もちろん名物は牛肉や豚肉、そしてチョリソ、ロモ、サルチチョン、モルシージャなど様々な腸詰類。なにより驚いたのは、こんなに美味しい料理をこんなに食べたのに、お勘定が安い!
今日のお薦め料理がこれ、豚一頭からほんの少ししか取れない部位の肉。美味しー!
私たちはみんなで村の高台に建つ広いアパートメントに宿泊したので、サロンからの眺めを楽しみながらのんびり過ごしたり、村はずれの森で散歩を楽しんだり、それぞれの好みで過ごしました。
サロンからの眺め
村はずれ、小川沿いの小径
可愛いらしい風見鶏のオブジェ、バイオリンを弾く小悪魔?
私はトレッキング組で、Garganta del Oso(オソ川の喉)と呼ばれる場所まで行き、清流沿いの散歩を楽しみました。
Garganta del Oso
8月初めでしたが、観光客もそれほど多くなく、静かでのんびりとした時間を堪能することができました。
聖母教会から見た美しい夕暮れ
おしまい
Lucymama
時間がゆっくり流れる村、カンデラリオ
2019-08-25
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