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先日、所用で、バスク地方へ行ってきました。折悪しく、冬に戻ったような寒さと雨の中、サンセバスティアン近郊を急ぎ足で駆け回った旅でしたが、目の覚めるような緑の牧草、森、そして満開のりんごの白い花が至る所に咲いていて、正に牧歌的な風景を堪能できました。
旅の目的のひとつはパサイア、サンセバスティアンのすぐ東にある港町。この町は港を囲む4つの地区、ドニバネ、サン・ペドロ、アンチョ、トリンチェルペから成り立っています。外海から港の奥深くまで入り込む途中にある狭い部分がドニバネとサン・ペドロを隔てているのですが、この部分の幅はほんの100メートルほど。港に出入りする船が通るので、この100メートルの水路には橋をかけられません。なので、市民の足として、可愛らしい緑色のボートがシャトル運行しています。
ボートの右手がドニバネ、左手がサン・ペドロ。
かつてこの渡し船を漕ぐのは女性の仕事だったそうで、船着き場にはこんなオブジェがあります。
私たちはドニバネの駐車場に着けて、さっそくヴィクトル・ユーゴの家へ。
窓からパサイアの港が一望の下、ユーゴがここに逗留した気持ちがわかります。
そして翌日の未明、旅の目的のひとつ、パサイアのロンハ(鮮魚卸売市場)へ。一般人が入るには事前に許可を申請する必要があります。今回は1週間ほど前に申請をし、許可を頂くことができました。
どこが入口か迷ったけど、ここでした!これは帰りに撮った写真で、着いたときは未だ真っ暗。
漁船が入港する埠頭に沿って建つロンハ、ここに沿岸漁業の漁船が着いて水揚げするそうですが、私たちた行った時は漁船はいませんでした。
さて、中に入ってみましょう!
左側が海に面し、漁船が水揚げする埠頭側、右側には仲買人たちの倉庫が並び、奥右手は沖合漁業のスペイン漁船が北欧などの港で水揚げし、トラックで輸送されてくる魚を運び込むスペースがあります。
競りは月~金の朝の05h45から開始され、漁船やトラックでの入荷次第で、通常08h00~09h00頃までに続くそうです。
私たちは07h00少し前に着きましたが、未だあちこちで競りが行われていました。誰かが早口でしゃべっている周りにたくさんの人だかり、現場の方に聞くまでこれが競りだとはちょっとわかりませんでした。競りがこういう形で行われるのはトラックで運び込まれる遠洋漁業の魚の場合とのこと。
一方、港に船で水揚げされる沿岸漁業の魚の場合、競りはロンハの一角に設置されたこちらのスペースで行われ、内容が前面のパネルに表示され、買い手は椅子についているボタンを操作して競るのだそうです。
このロンハで扱う魚はノルウェーなどの港で水揚げされ、トラックで輸送されてくるものがほとんどで、漁船が入港して水揚げする沿岸漁業の魚の割合は小さいとのこと。しかし、取り扱う魚の総量はビーゴ、ア・コルーニャに次いでスペインで第3位!
アンコウやメルルーサが所狭しと並んでいます!
ロンハのスタッフの方が説明してくださったのがこのラベル。漁船での水揚げであれトラックでの搬入であれ、このロンハに入って来るすべての魚は登録されてこのラベルを添付されるのだそうです。左上から右下の順に、獲れた海域、捕獲した漁船の名前、魚の分類と名前、漁獲された日付、ロンハに搬入された日付、価格、漁獲方法(一本釣りか、網を使った漁法かなど)、内臓を除去した状態か否かなどが記載されています。
説明してもらってからよく見ると、同じ海で獲れた同じ魚でも、網漁で捕獲したものと、一本釣りで捕獲したものでは、まったく生きのよさが違うことが私たち素人にも一目瞭然。これは一本釣りのメルルーサ。
仲買業者の倉庫前には競り落とした魚がいっぱい!
なかなか得難い体験をさせて頂き、朝日が昇る中、大満足でロンハを後にしました。
いろんな魅力がぎゅっと詰まった小さな港町、パサイア、好きになりました!
おしまい。
Lucymama
早春のバスク、パサイアのロンハ(鮮魚市場)見学
2019-04-13
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