イーペルのネコ祭り
イーペルのネコ祭りは、ベルギー西部に位置するフランドル地方のイーペルという小さな町で開催される、3年に一度のお祭りです。猫満載のイベントで、猫好きはもちろん、この個性的なお祭りを楽しむために、世界中から観光客が訪れます。
フランドル地方一帯は毛織物で有名な場所ですが、イーペルの町も、もともとは中世にイギリスから羊毛を輸入し、毛織物として輸出することで栄えた町です。当時、大切にされていた輸出物である毛織物を保管する際に、ネズミからそれらを守るために多くの猫が飼われ、大切にされてきました。しかし、14世紀に入り、ヨーロッパでペストが流行すると、イーペルの町でも疫病を恐れ、疫病を含めた災いの原因と考えられていた魔女を摘発する「魔女狩り」が行われました。そして、魔女と共にいるイメージが強い猫にもその手が伸び、病気を運ぶという考えも重なって、猫が捨てられるようになりました。
このような歴史から、「猫の水曜日」と呼ばれる日に、繊維会館から黒猫のぬいぐるみを落とすお祭り「イーペルのネコ祭り」が開かれるようになりました。
見どころ
ベルギーの小さな街イーペルに世界中の人が集まる、人気のお祭り「イーペルのネコ祭り」は、町中が猫モードに包まれる活気あるイベントです。
前日から、子供向けのイベントや、繊維ホール前にあるマルクト広場で小さなパレードなどが行われ、盛り上がりの助走が始まります。前夜祭の見どころともいえる花火では、猫をテーマにした様々な見どころが各所に設けられていて、見逃せない内容となっています。
当日は、音楽のイベントに合わせて、猫や魔女などのコスチューム姿をした、たくさんの参加者たちによるパレードを楽しむことができます。参加者たちの個性ある衣装はどれも見ごたえがあり、圧巻です。
パレード最大の見どころは、ラストに登場する、巨大な王様猫のシープルと、王妃猫のミネケ・プスです。フィナーレを飾るにふさわしい迫力で、パレードを盛り上げます。
そして、夜が近づく頃に、お祭り最大のメインイベント、猫投げが行われます。赤と白の衣装に身を包んだ道化師が、125mの高さのある繊維会館の鐘楼から、猫のぬいぐるみを投げます。道化師が投げ落としたぬいぐるみをキャッチした人は幸運が訪れるといわれているため、道化師の掛け声に、繊維会館前に集まるたくさんの人々の盛り上がりもヒートアップし、イベントの雰囲気も最高潮に達します。
最大の見どころ猫投げの後、マルクト広場では急いで次の会場作りの準備が進められます。そして、準備が整うと、最後のイベントとして、魔女裁判と火あぶりの刑を再現したショーが行われ、静かにお祭りのエンディングを迎えます。猫一色の楽しい盛り上がりを見せる数々のイベントのラストにある、この悲しい歴史を忘れないために催されるショーもまた必見です。