聖ローレンツ教会
ドイツの南部に位置するバイエルン州ミッテルフランケン地方にあるニュルンベルクは、リヒャルト・ワーグナーの代表作の一つ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の舞台としても名を広げた町です。この町の中心に、2本の尖塔が目印の、高く聳え立つ聖ローレンツ教会があります。
町のランドマーク的な存在ともなっている聖ローレンツ教会は、13世紀半ばから15世紀にかけて、もともと小さな礼拝堂があった場所に建てられた、中世ヨーロッパを代表するゴシック様式による教会です。
ニュルンベルクの町のほとんどが被害を受けた第二次世界大戦の空襲により、聖ローレンツ教会も被害を受けましたが、前もって、教会から取り外し別の場所へ保管したり、外部にも防御対策などを行っていたため、貴重な全てのものを破壊されることからは免れました。そのように守られて残された貴重な建物や、すばらしい彫刻がある聖ローレンツ教会は、現在、ニュルンベルクの人気の観光地の一つとなっています。
見どころ
ドイツゴシック様式の建物が美しい、ニュルンベルクのシンボルともなっている聖ローレンツ教会は、その外観や内装の美しさも、もちろんですが、16世紀のドイツの後期ゴシックの彫刻家として活躍したファイト・シュトースにより作られた、「受胎告知」のレリーフがあることでも名を知られています。教会内部の天井から吊るされたレリーフにデザインされた、大天使ガブリエルとマリアの2人が並んで立つその姿に、窓から差し込む光があたり、煌びやかな美しさを見せてくれる必見の作品です。天蓋から下がった迫力ある大きなレリーフは、様々な角度からその美しさを楽しむこともできます。
教会内に光を注ぎ入れる、壁や祭壇の後ろに並べられた数々の窓は、空襲の際に守られた美しいステンドグラスがはめこまれていて、これらに見える神聖でありながら色鮮やかな美しさも必見です。
また、15世紀にニュルンベルクで活躍した彫刻家アダム・クラフトによって作られた、祭壇北側にある「聖体安置塔」は、その台座の下でひざまずくアダム・クラフトの徒弟や職人の男たちに混じって、アダム・クラフト自らの姿を表した像が飾られているほか、その台座の上には、およそ19メートルにも及ぶ高さの塔が立っています。天に届くことを願って、教会内に建てられたその塔の高さの迫力と、塔の柱に刻み込まれた彫刻の精密さは圧巻です。
そのほかにも、教会内には、豪華で荘厳な燭台や、精緻な彫刻が掘り込まれた柱など、見どころの多い造りとなっています。