マーブルアーチ
ロンドンの市内西部にある、王立公園の一つ、ハイド・パークの北東部に位置する入口には、白く堂々とした趣きある構えで立つ門「マーブルアーチ」があります。
マーブルアーチは、1828年に、イギリスの建築家ジョン・ナッシュにより設計され、バッキンガム宮殿へと続く通りに、建てられました。ロンドンの王立公園リージェント・パークやリージェント・ストリートなどの設計を行い、さらにその功績によりバッキンガム宮殿なども手がけたジョン・ナッシュが、ローマ建築を代表する、古代ローマ時代のコンスタンティヌスの凱旋門のデザインを土台にして、宮殿の入口ゲートとして設計したものです。しかし、19世紀中頃に行われた宮殿改築を機に、現在の場所へと移されています。この移動の理由は、女王の馬車が門の下を通ることができなかったからとも言われています。
当時、王族や護衛兵が祝典のときにのみ、くぐる門として使用されていて、現在も王室の通る門としての存在理由が法律に明記されていますが、多くの一般の人たちから観光名所の一つとしても楽しまれています。
見どころ
イギリスの長い歴史と深い関わりを持ち、もともとは、ロンドンの代表的な観光地の一つであるバッキンガム宮殿の入口として造られたマーブルアーチの見どころは、その威厳ある美しい外観と、門を飾っている各部に見られるデザインにあります。
大理石により作られたマーブ泣Aーチは、大きなアーチが中央に1つと、小さいアーチがその両脇に1つずつ、合わせて3つのアーチで造られています。遠くからその姿の全体像を眺めると、大理石により造られた門ならではの重厚感と、白い色がまぶしい白亜の門らしい美しさが感じられ、見ごたえがあります。大理石は一部ではなく全てに使用されているという点も、圧巻の美しさを持つ理由の一つです。
周囲を交通量の多い道路で囲まれているため、地下道によりこの門の内部へと入って行くと、遠くから眺めるのとはまた異なった、随所に見られるデザインが目をひきます。王室のために造られたという門らしいアーチ中央にある鉄門のデザインや、大理石部に彫られた数々の彫刻の美しさは必見です。
アーチを抜けるその途中の中央部に扉がありますが、これは、かつてマーブルアーチが交番としても使われていたため、その3つの部屋に入る入口が残っているものです。
また、マーブルアーチは、最寄りの地下鉄駅の駅名ともなっています。その名のついた駅には、この歴史ある門の姿を現代的にデザインした絵が描かれていて、こちらも合わせて楽しめる見どころの一つとなっています。