ペータース教会
ドイツでもっとも人気のある街のひとつ、ミュンヘンの中心にはマリエン広場があり、そこから少し南に入ったところに「ペータース教会」が建っています。この教会は、ミュンヘン最古のもので、聖母教会とともに市民に愛されている教会堂です。12世紀以来のロマネスク調の会堂は、13世紀末にゴシック調の新会堂となり、それもまた、1327年のミュンヘン大火の際に破壊されてしまったため、再建が完了したのは1368年でした。その後も、部分的に改修が行われ、塔が現在の形に完成したのは1386年で、この時に造られた丸屋根が、ペータース教会を象徴する目印となりました。このような歴史的変遷を経たために、この教会は、ゴシック・ルネサンス・バロックが混在する造りとなっているのです。ペータース教会は、約300段の階段を上って展望台へ行くことができますので、ここからミュンヘンの見事な眺望を楽しむこともできます。ドイツ人、特にミュンヘン市民からは「年寄ペーター(ドイツ語では、アルテペーター)」という愛称で親しまれていますが、それは、11世紀の多くの建築物のなかで、唯一、「ペータース教会」が中世の面影を残しているからなのでしょう。この「年寄」教会の上から、ドイツが誇る芸術の街の歴史を目と肌で感じてください。
見どころ
ペータース教会は、マリエン広場を挟んで、ミュンヘンのランドマークとも言われる「聖母教会」の反対側に位置します。聖母教会は、煉瓦造りの巨大な後期ゴシック会堂本体の赤褐色と、高さ99メートルの二つの塔を飾る丸屋根の青緑の色のコントラストが美しく、その姿は人々を魅了します。内部の見どころは、彫刻類やステンドグラスなどですが、他にも、南塔の下の方にあるゼントリンガー・チャペルには、当時のドイツで有名だったハンス・クルムパーが手がけた皇帝ルートヴィヒ4世の墓碑があります。また、南側のフラウエン塔からは、旧市街地を見渡すことができます。マリエン広場の北側には、新市庁舎が建っていますが、これは、19世紀の後半にゴシック様式で建造されました。煉瓦造りの東半分が1867年から1893年に、次いで西部分が貝殻石灰石(ムシェルカルク)で2回に分けて造られたという歴史をもっています。西側にある高さ85メートルの塔の前には、仕掛け時計が飾られており、その造りの上段は、「騎士の馬上試合」で、大公ウィルヘルム5世の結婚式の催しを示しています。また、下段の「桶屋の踊り」は、1349年から150年間も続いたペストの流行が去った際、その再来がないことを祈るため、桶職人たちが儀礼通りに踊りを奉納したことに由来しています。新市庁舎のすぐ横には、旧市庁舎が隣接していますが、こちらもゴシック様式を備えています。元々は、後期ゴシック建築であったのですが、その後、ネオゴシック調に改造された部分が多々あります。この庁舎の南の塔は、市立玩具博物館になっていますので、ペータース教会、新・旧市庁舎と併せて見学すると良いでしょう。新市庁舎の西側を北方向へ進むと、オデオン広場の左側で、テアティーナ教会を見ることが出来ます。これは、皇妃アデレートが、自分の息子(皇太子マックス・エマヌエル)の誕生を喜び、そのお祝いに造らせたイタリアバロック様式の教会で、非常に優美で荘厳であり、一見の価値があります。皇妃アデレートは、この教会の建立のために、わざわざイタリアの有名な建築士、アゴスチーノ・バレリを呼んで棟梁に選任し、本格的ローマバロック様式に仕上げさせたと言われています。