アルテピナコテーク
ミュンヘンは、ドイツで一番観光客を惹きつける魅力ある街のひとつですが、それは、他のドイツ観光地とは一味違った「芸術」面での魅力が理由です。そして、その魅力を大いに語るのが「アルテピナコテーク」を代表とする、3つのピナコテークです。700年にもわたってバイエルン地方を支配したヴィッテルスバッハ家には、芸術を愛する君主が多く、ミュンヘンは、いつの時代も国際的な文化都市としての地位を保ってきています。ルートヴィヒ1世も、「芸術公」と呼ばれるほどの美術愛好家で、それがアルテピナコテークという、素晴らしい美術館を生むこととなったのです。アルテピナコテークは、旧市街地の少し北側にある、工科大学の東隣ブロックに建っています。中世から18世紀までの第1級の名画を集め、「芸術都市ミュンヘン」という名声を高めた美術館です。この美術館は、ルートヴィヒ1世の文化・芸術政策の一環として建造されたのですが、その設計には、王の信頼が厚かった宮廷建築士のレオ・クレンツェが貢献しました。レオ・クレンツェを筆頭とする、当時の建築家の才能と叡智に触れ、そして、ドイツが世界に誇る素晴らしい芸術を楽しむことができるのがミュンヘンなのです。
見どころ
「ドイツに来たら、ミュンヘンのアルテピナコテークには絶対に行きたい」と思うドイツ観光客は多いようです。それは、アルテピナコテークでは、他ではなかなかお目にかかれないような、世界的に優れた芸術作品を間近に見ることができるからです。アルテピナコテークには、ヴィッテルスバッハ家が収集した15世紀から18世紀の名画が700点以上所蔵されています。特に見ごたえがある作品は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「聖母子」(ダ・ヴィンチが21歳の時に描いた作品で、マリアが持つカーネーションは、キリスト受難の際にマリアが流した涙のあとに生えた花)、ルーベンスの「最後の審判」(縦が6メートルある祭壇画。この絵を基準にアルテピナコテークの天井の高さを決めたと言われています)、アルブレヒト・デューラーの「自画像」(彼が28歳の時の作品で、自分の容姿や才能に自信を持っていたと言われ、作品の上には、この絵を不滅の色彩で描いた旨のデューラー自身の言葉が残されている)などです。アルテピナコテークと並んで人気のあるのが、「ノイエピナコテーク」です。こちらは、19世紀以降のドイツの近代絵画の名作や、フランス印象派の作品などを展示しています。こちらの美術館で注目すべき作品は、マネの「アトリエでの朝食」、ゴッホの「ひまわり」などですが、他にもセザンヌ、ゴーギャンなど有名な画家の作品も数多くあります。そして、第3のピナコテークとして、「ピナコテーク・デア・モデルネ」が、2002年にオープンしました。ここには、現代アートが集結し、ドイツ最大の規模を誇ります。20世紀の絵画を中心に、グラフィック作品や現代彫刻、そして、車や生活用品なども展示されていて、他の二つのピナコテークとは、かなり異なった趣向が凝らさています。また、ハンス・フレイムスによる「光の演出」は、「空間を芸術として楽しむ」という面白さが人気を呼んでいます。これら三つのピナコテークを全て見たい方は、平日であれば3館共通のチケットがありますので、これを利用するとかなり割安になります。また、ミュンヘン市内の複数の美術館や博物館巡りをするのであれば、これらを効率良く回るバスが出ていますので、観光案内所でルートマップを手に入れてから出かけるのが良いでしょう。