聖シュテファン教会
ドイツのマインツという名を聞くと、マルク・シャガールと活版印刷の父・グーテンベルクを、すぐに頭に思い浮かべる人も多いことでしょう。特に、マルク・シャガールと「聖シュテファン教会」とは、切っても切れない関係にあると言えます。「聖シュテファン教会」は、990年に、ヴィリゲス大司教によって起工されました。マインツのシンボルである「大聖堂」の南の方に位置していますが、「大聖堂」とはまったく趣きを異にするゴシック様式の教会です。「聖シュテファン教会」は、第二次世界大戦で破壊されましたが、その後再建されて、現在の比較的シンプルな外観に至っています。ドイツの暗い歴史と宗教について考えさせられる観光スポットの一つです。マルク・シャガールは、その生涯の最後の歳月を、このステンドグラス窓の仕事に費やしたと言われています。マルク・シャガールは、1985年に97歳で死去しましたが、晩年は、「聖シュテファン教会」のためのステンドグラス作りに尽力し、そこには、キリスト教とユダヤ教の和解を願うかような雰囲気をにじませる、特徴的なデザインと青色を基調とした作品が目立ちます。聖シュテファン教会内に入ると、煉瓦の赤茶色と漆喰の白い色で包まれた内装が、マルク・シャガールの独特なステンドグラスと融合し、教会内にいる人々を、まるで水の中に漂っているかのような神秘的な雰囲気にしてくれます。新約・旧約聖書を題材として、「アダム&イヴ」の物語から始まり、「モーゼの十戒」「受胎告知」「最後の晩餐」など、キリスト教のさまざまなエピソードを、マルク・シャガールの絵画(ステンドグラス)とともに楽しめる非常に価値ある教会なのです。
見どころ
マインツは、ライン川とマイン川の合流点に位置し、ローマ時代に起源をもつ商工業都市です。もとより、水運に恵まれていたため、交通の便が良く、ローマ人が侵入してくる前からケルト人の集落があったので、ドイツの中でも、独特の雰囲気をもった街です。マインツでは、ローマ時代末期には、すでにキリスト教が伝わり、また、司教区があったと言われ、中世からマインツ大司教の司教座聖堂の所在地であったほか、ワインの産地としても有名です。「聖シュテファン教会」のすぐ側には、「大聖堂」が建っていますが、別名「ザンクト・マルティン・カテドラル」といい、ケルン、トリーアと並んで、ドイツで3本の指に入る大聖堂です。ロマネスクを中心に、ゴシック、バロックなどの様式が混在しています。聖堂は、内外どこを見ても、絵になる撮影スポットが満載なので、観光客にとっては非常に嬉しい観光名所と言えます。そして、「大聖堂」の裏側にまわって少し行くと、石畳でできた通りの一角に出ます。このエリアは、第二次世界大戦の戦火を免れた、古い木組みの家やカフェなどが軒を連ねているので、一休みしながら辺りの景色を楽しんだり、お土産を買ったりするのにお勧めの通りです。また、活版印刷を発明したヨハネス・グーテンベルクの出身地としても、マインツの名を知っている人も少なくないでしょう。グーテンベルクの印刷技術は、ルネサンスの拡大に貢献し、科学技術の土台を築いたと言われています。当時、手書きに代わって、格段に費用も時間も節約でき、かつ大量生産ができる活版印刷は、非常に画期的・歴史的な出来事でした。この発明や詳細について知りたい方は、「グーテンベルク博物館」に是非足を運んでください。当時の印刷工房を再現した部屋なども見ることができます。その他、この周辺には、石器時代から現代に至るまでの広い展示物や、ナポレオンによって寄贈された絵画などがある「州立マインツ博物館」や、先史・ローマ史・中世初期のコレクションを展示している「ローマ・ゲルマン博物館」があります。後者の博物館では、以前、アイスマンモスが氷河で発見された際に、そのマンモスが処置・研究を行われた場所として知られています。
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