カイザーヴィルヘルム記念教会
ベルリンはドイツの首都で、ドイツ最大の都市です。欧州においても2番目に人口の多い市域人口を有するこの大都市は、プロイセン王国、ドイツ帝国等、過去にこの地域を治めてきた国の首都であり続けました。1961年に一夜にして壁が作られ西ドイツと東ドイツに分断されたときも東西ベルリンに分断されたこの都市がそれぞれの国の首都でした。東京23区の1.5倍の面積のこの大都市は、三分の一が公園、水路、湖で自然の多い都市であることも特徴です。また、一つの都市にベルリンのモダニズム集合住宅群(2008年)、ポツダムとベルリンの宮殿群と公園群(1990年)、ベルリンの博物館島(1999年)といった複数の世界遺産を有する観光都市であることも特徴の一つです。カイザーヴィルヘルム記念教会は、繁華街であるツォー駅からほど近いところにあります。観光スポットであり、現在もプロテスタント、ルター派の礼拝を行っている現役の教会でもあります。
見どころ
カイザーヴィルヘルム記念教会は、古い尖塔と、新しい教会により構成されます。古い尖塔は、1888年に死去したドイツ皇帝ヴィルヘルム1世を追悼して建てられた教会の一部です。ネオ・ロマネスク様式のデザインは、当時コンペに応募したフランツ・シュヴェヒテンによるものです。建設当時、尖塔の高さは113mで、2740平方メートルに及ぶモザイクが壁に施されました。2000人以上の座席がある非常に大規模な教会でしたが、1943年のベルリン大空襲で破壊されてしまいました。現在残る尖塔は、広島の原爆ドームと同様に、戦争の悲惨さを現代に伝えるため、空襲で崩れたままの姿に、最低限の修復を施して保存しています。そのため、尖塔には、様々な弾痕や爆撃の跡が残っていますが、内部に入ることができ、当時の教会の写真や、残されたモザイクの壁を見ることができます。現在、尖塔の隣にはモダニズム建築の新しい教会がたてられており、現在も礼拝堂として利用されています。こちらの教会は、八角形の形状で、建物の内部には青いステンドグラスが張り巡らされ静寂で荘厳な雰囲気を味わうことができます。教会の中では、「スターリングラードの聖母」と呼ばれる、ソ連赤軍の地図の裏に木炭で描かれた聖母を見ることができます。アルベルト・シュバイツァー博士と交流のあったクルト・ロイバーという牧師が、ソ連軍の包囲下のスターリングラードで描いたものです。彼はソ連赤軍の収容所で病死しましたが、息子に送った手紙に添えられたこの絵はドイツに届き、教会に飾られることになりました。