ヘレンキームゼー城
ドイツのミュンヘンから緑豊かな牧歌的風景を行くこと約一時間で、プリーンという街に着きます。そこからその名もキームゼー鉄道という列車にさらに乗り換えるか徒歩で港まで向かい、そこから船でしかたどり着けないお城がヘレンキームゼー城です。キーム湖という湖の中にあるヘレン島に立つお城で、ノイヴァンシュタイン城を建てたルードヴィヒ二世が彼の生涯最後に建てた城としても有名です。ルードヴィヒ二世とは19世紀の第4代国王ですが、芸術を愛し、生涯に渡り数々の城を建て続けた王です。子供の頃から中世の騎士伝説を愛読したため、まるで中世そのもののような豪華で華麗な城を好みました。また、フランス国王ルイ14世も尊敬していたため、ヘレンキームゼー城はルイ14世が住んだヴェルサイユ宮殿を真似して作られました。ルードヴィヒ二世が生存している間には完成できず、城内には70ほどの部屋がありますが、そのうちの50部屋は未だ完成していません。
見どころ
ルードヴィヒ二世が建てた最後の城、ヘレンキームゼー城は大きく分けて3つの建物からできています。そのうちの一番大きな建物はルードヴィヒ二世が敬愛したルイ14世へのオマージュとして1886年に完成しました。外観ならびに内部もかなりルイ14世の居城であったヴェルサイユ宮殿にそっくりに作られています。食堂にはドイツの誇る高級磁器メーカー、マイセンが作った世界で一番大きなシャンデリアがあります。またテーブルにはグリム童話が描かれており、ここはドイツらしさが打ち出された部屋です。もう一部屋ドイツらしさが出た部屋がその名も「マイセンの間」、部屋の中にあるほぼ全てのものがマイセンの磁器で作られており、ルードヴィヒ二世が愛したロマネスク様式やロココ形式で彩られます。そして城に入ってすぐにある大階段は「ヴェルサイユの大天使の階段」といわれ、壁にも床にも様々な色の大理石を使用したモザイクが見事です。ヴェルサイユ宮殿にもある鏡の回廊は、長さが約100メートルもあり本家よりもヘレンキームゼー城の方が長く作られています。シャンデリアだけで33もあります。シャンデリアはお風呂にまであり、お風呂のものはイタリアのベネチアングラス製で、壁や床にはヴィーナスのフレスコ画が一面に描かれています。城の周りには噴水が点在し完璧な左右対称を誇るフランス式の庭園です。南ドイツのヴェルサイユ宮殿呼ばれるのもうなずける、全てが華麗で豪華なお城です。