ザクセン・スイス
ドイツ東部ザクセン州にあるドレスデンは、文豪ゲーテが「エルベ川のフィレンツェ」と評した美しい古都の町です。そのドレスデンの町の南東部に位置し、ドレスデンの町とエルベ川で結ぶ大自然にあるザクセン・スイス国立公園は、36000ヘクタール以上の敷地を持つ国立公園です。かつて、スイスの芸術家が、この場所の光景がスイスの美しい景色に似ていると言ったことから、その名が付けられたと言われています。地殻変動により作られた、自然豊かなこの地は、塩や銀、鉛などの資源にも恵まれた採鉱の場所でもありました。現在も残された自然遺産の中には、珍しいシダやコケ植物が多数生育していて、希少動物であるカワウソやヤマネといった動物も生息しています。このエリアにあるバスタイ橋やケーニヒシュタイン要塞からは、個性的な形をしたリーリエンシュタイン山を見ることができます。また、バスタイ橋のそばには、ラーテンという小さな温泉の町があり、ハイカーたちにも人気のスポットとなっています。
見どころ
ザクセン・スイス国立公園は、1000メートルを超える断崖が聳え立つ迫力ある自然が残る人気の観光スポットの一つです。1億年もの長い歴史が作り出した奇岩の数々は、白亜紀から残る自然の遺産で、圧巻の光景を見ることができます。ヨーロッパアルプスとは異なった独特な雰囲気を持つザクセン・スイスの大自然は、ハイキングコースとしても人気があります。ザクセン・スイスの240メートルほどの山の上には、ドイツ最大の規模を誇るケーニヒシュタイン要塞という城砦が聳え立っています。この要塞は、13世紀に、王家の財宝を保管したり、国王が隠れ場所として利用したり、さらには戦争捕虜や罪人たちを収容する牢獄として使用されたりしていました。要塞の中には、当時の様子を再現した展示や、時代ごとに分かれた博物館などもあり、歴史を知ることができる充実の観光施設として観光客に知られています。特に、1563年から6年もの歳月をかけて作られたという井戸は、とても貴重で必見の展示品です。当時の生活に貴重だった水の確保に大いに役に立ったといわれるこの井戸は、152.5メートルもの深さがあり、その様子を見ることもできます。要塞の上から眺める、エレベ川の光景、ケーニヒシュタイン要塞の周囲の町や、遠くに見えるチェコやドレスデンの町並みの風景も、見どころの一つとなっています。また、もう一つの人気の見どころが、バスタイ橋から眺める景色です。高さ200メートルもの崖にある石橋の中央から眺める周囲の雄大な景色は、絶景です。