ヒルトップ
イングランド北西部カンブリア州に広がる湖水地方は、16の美しい湖、雄大な山脈、ヒースの荒野など、様々な景観を有するイングランド最大の国立公園であり、イギリス有数の観光地です。イギリス国内で最も美しいとされる雄大な自然は、古くから多くの詩人や芸術家たちに愛されてきました。エストウェイト湖畔のニア・ソーリー村には、「ピーターラビットのおはなし」の作者、ビアトリクス・ポターが半生を過ごしたヒルトップの家があることで知られています。1882年に初めて湖水地方を訪れたポターは、その美しさと豊かな自然に魅了され、1905年、39歳のときに彼女の湖水地方で一番のお気に入りだった場所、ニア・ソーリー村のヒルトップの農場を購入します。ポターは湖水地方の美しい自然をそのままの姿で残したいと考え、ピーターラビットの絵本で得た資金で湖水地方の土地を買い上げていくのです。1943年、ポターが77歳で亡くなったときには、彼女が所有していた15の農場、広大な土地は、史跡・自然保護団体ナショナルトラストに寄附されました。ポターの意思は受け継がれ、彼女が残したいと願った昔ながらの美しい湖水地方の風景を楽しむ、多くの人々が訪れるのです。
見どころ
ニアEソーリー村のヒルトップの家は、2階建てのがっしりした石造りの家。この家を購入してからポターが作ったコテージ庭園、畑も残されています。ここでポターは多くの作品を執筆しました。100年以上前のアンティークな室内には、ポターのスケッチ、ポターの両親と弟が描いた絵も飾られています。実際に使われていた家具、古めかしい暖炉、ポターの仕事机などが当時のまま残され展示されています。ピーターラビットの絵本の背景には、このヒルトップの家が数多く描かれています。絵本の世界そのままの室内、調度品、美しい庭には野生のうさぎが現れることもあります。ポターは、この家で起こった出来事や、農場にいた動物たちをモデルに想像を膨らませ、生き生きとした動物たちの姿を描いたのです。またポターは、ニア・ソーリー村に実在した店や人、街に住む猫も絵本に出演させ、近所に住む人々を喜ばせていました。ヒル・トップの家の隣には、小さなショップが併設されており、可愛いお土産を購入することができます。ヒルトップの周囲は一面の牧草地、のんびり草を食む羊たちはポターが飼育に力を入れていた湖水地方原産のハードウィックシープ。ポターが愛し、守りたいと願った穏やかな風景です。