バチカン市国
イタリアのローマには総面積約0.44キロ平方メートル世界で一番小さな面積を持つ国があります。それがユネスコの世界遺産にも指定されているバチカン市国です。
通貨はユーロが適用され、イタリア側からの入国、バチカン市国側からのイタリアへの入国ともにパスポートの審査など出入国管理はありませんが、周囲は城壁によって守られています。観光客が入場できるのは限られており、教皇の居住区などは外国人は一切立ち入り禁止です。
ローマのテベレ川沿いにあり、世界に11億人以上信者がいるカトリック教会と東方典礼カトリック教会の総本山です。国を治めるのは、大統領や国王ではなくローマ教皇で、立法、行政、司法の全権を持っています。住人はほぼ全てがカトリックの聖職者並びに修道士や修道女で、事務担当の一般住民も何人かはいますが、全員でも1000人にも満たない数です。
世界で一番小さな国とはいえ、バチカンの主な政治は世界平和の確立など、キリスト教的世界観による正義を行使することで、経済的活動や軍事力ももたない国です。数少ない産業としては、聖書などの出版やモザイクの制作がありますが、これらはカトリックの普及が目的であり利益追求のために産業は持ちません。同様に収入も信徒からの募金や、美術館の収入などに限られます。法王を守るために永世中立国であるスイス衛兵が、国の警護に当たっており、その制服は一説にはミケランジェロがデザインしたものとも言われる非常に個性的なものです。
見どころ
キリスト教の教会としては世界最大級の規模を誇るのが、バチカン市国のサン・ピエトロ大聖堂です。宗教施設なので肌を露出した格好では入場できません。男性も膝丈のショートパンツなどは避けます。4世紀にコンスタンティヌス帝が建設したのちに大規模な改築が行われました。改築に際にはミケランジェロも設計に参加し、ゴシック様式やロマネスク様式の混在した壮麗で華麗な大聖堂です。
このサン・ピエトロ大聖堂と並んで立ち並ぶのが、システィーナ礼拝堂です。もともとはバチカン市国にあった古い礼拝堂を、当時の教皇シクストゥス4世が立て直したことから、彼の名をとってこの名で呼ばれるようになりました。
その後にルネサンス期を代表する画家がその内部を華麗な宗教画で飾り、なかでもミケランジェロが描いた「最後の審判」が有名です。この絵は死後、再びこの世に再臨したイエス・キリストが死者を天国に送るか地獄に落ちるかの審判をしている図で、約400名もの人物が生き生きとした表情や仕草で書き分けられ、ダンテの「神曲」をイメージしてミケランジェロが描いた最大の傑作と言われる大作です。最後に審判を含んだ宗教画の多くがフレスコ画という独特な画法で描かれています。これは壁に塗った漆喰の上に、漆喰がまだ乾ききらないうちに絵の具で書き込む方法で、書き直しが効かないという不便さはありますが、保存には適した方法です。しかしながら長年の間にススで汚れてしまった最後の審判ですが、日本の企業の協力によって、もとの色鮮やかな色彩を取り戻しています。
ローマ発 日本語ガイドとヴァチカン美術館半日観光 システィーナ礼拝堂入場 ~ランチ付プランもあります
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