ロンドン塔
ロンドン塔は、名称に塔がついていますが、実際はホワイトタワーを中心にいくつかの塔櫓で構成された城塞で、1988年に世界遺産に登録され、現在ではイギリスを代表する観光名所になっています。歴史的にはウィリアム1世征服王が外敵からの侵入を防ぐ目的で1078年に建設を命じ、その後、リチャード1世を経て、ヘンリー3世の時代に完成しました。
ロンドン塔にはいくつかの顔があり、長い歴史の間に王の宮殿や天文台、銀行に動物園など様々な役割を担ってきました。しかし、なんといってもその中で一番有名なのが1100年頃から担ってきた監獄の役割です。特にイギリス国内での宗教改革の原因をまねいたイングランド王ヘンリー8世がらみの囚人は多く、カトリック教会の大法官でユートピアの著者でも知られるトマス・モアや、ヘンリー8世の2番目の王妃であるアン・ブーリン、イギリス国内の宗教改革を主導したトマス・クロムウェルなど、その数は複数にのぼります。
またロンドン塔内には世界最大級の大きさを誇るワタリガラスが多数羽、飼育されており、これはイングランド王チャールズ2世がロンドン塔内に住み着いた多数のワタリガラスを処分しようとした際、占い師に「ワタリガラスを処分すればロンドン塔が崩壊し、同じくイギリスも滅びる」と忠告されたことがきっかけとなって始まったとされています。ワタリガラスの飼育は、レイヴンマスターと呼称される王国衛士によって行われており、近年は人工繁殖なども行っているようです。
見どころ
【ホワイト・タワーの歴史的展示物】ロンドン塔の中心に聳え立つこの天守閣は、長らく軍需品を管理してきました。その為、この建物にはヘンリー8世の甲冑を始め、歴代の王の顔面像や、徳川幕府からの贈り物など歴史的に価値のある武具・甲冑などが多数展示されています。また、同じ天守閣内には神聖な雰囲気が味わえるチャペルも存在し、外から入射してきた光がチャペル内の白亜の壁や柱を美しく輝かせる様子を見ることができます。
【長らく世界最大を誇ってきた巨大ダイヤモンド】中心部ホワイトタワーのすぐ北側には、ウォータールー・ブロックという建物があり、そこにはイギリス王室の宝石たち(通称、クラウン・ジュエル)が保管されています。中でも3106カラットの原石から削り出された「偉大なアフリカの星」は長らく世界最大を誇った巨大ダイヤモンドで、これを見ずしてロンドン塔を語ることはできないでしょう。
【ロンドン塔の暗黒面・監獄】ロンドン塔は宮殿や銀行、動物園といった顔とは別に監獄という暗黒面を持っています。その監獄に関係する場所としては、囚人に対して実際に使っていた拷問器具が展示されているロワー・ウェイクフィールド・タワーや、監獄部屋として実際に使われていたビーチャム・タワー、身分の高い人向けの監獄部屋に使われていたブラッディー・タワーなどがあり、これらのタワーに展示されている拷問器具や監獄部屋を見学することで当時の囚人達がこの場所でどのように過ごしていたのかを伺い知ることができます。
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