ニューグレンジ
ニューグレンジはアイルランドにあるミース州のブルーナ・ボーニャの遺跡群内の羨道墳の一つとなっています。世界的に有名な先史時代の遺跡としても知られています。
紀元前3200年前という、はるか遠い昔に人の力だけで作られた偉業の遺跡です。ダブリンから日帰りで訪れられる世界遺産であり、上空から見たその形はハート形にも見える全景は直径約80メートル、高さ12メートルと非常に大きなものであり、ヒースの草に覆われた小高い丘のようにも見えるニューグレンジは墓地とも天体観測所とも言われ、誰が何のために作ったのか未だハッキリと解明されていない部分があります。
ニューグレンジはエジプトのギザのピラミッドよりもおよそ500年古い時代から存在し、冬至とその前後の数日間だけ室内に朝の太陽光が細く差し込む高度な技術が用いられています。ダブリンからはバスや車で一時間程度で訪ねられるニューグレンジの周辺にはトリム城やケルトの聖地となっているタラの丘などがあります。
見どころ
紀元前3100年から紀元前2900年までの間に建てられたと考えられている、有名なストーンヘンジよりもおよそ1000年先行していることになります。新石器時代には何らかの儀式に使われていたと思われるもので、遺跡の周囲には12個の石が円形に並べられており、かつては35個あったストーンサークルの残骸ともいわれるもので、パワースポットの一つとして是非とも見ておきたいところです。
アイルランドはこの時代は統一されておらず、これだけのものを作るには指導者が必要であったはずですが、その記録は一切残されていません。ケルト民族は数学的な特技を持っていた民族ですが、建てられたのはそのもっと以前であり、それにもかかわらず天文学や設計の計算などの数学に関する知識が非常に長けている人物であったことは間違いないようです。
入り口の巨大な石には平板に渦巻き模様と菱形紋が彫られており、これはニューグレンジ特有のものでもあります。通路や石室内にもこれが見られ、北ウエールズにあるアングルシーなどの羨道墳にもある三脚巴にも似ています。ニューグレンジは塚が崩れて埋まっていたので5000年近くも知られずに、1142年にシトー派であるメリフォント修道院の農地として使われていました。その後1688年に土地がチャールズ・キャンベルの所有となり、1699年に彼の使用人が建材用の石を探している時に遺跡が偶然に発見されたのです。ミステリアスな興味を集めているこの丘は、アイルランドを訪れるなら是非とも見ておきたい場所です。