プロヴァンス地方
明るい陽光、花々と遺跡、自然と芸術
マルセイユを中心としたプロヴァンス地方は古代ローマ時代から栄えた地域で、ポン・デュ・ガールに代表されるローマ遺跡が現存しています。春のミモザ、夏のラベンダーに代表される花々も美しい豊かな自然は、セザンヌ、ゴッホ、ピカソといった芸術家達を魅了してきました。丘の続く田園地帯には、昔ながらの面影を残す美しい村が点在しています。
プロヴァンスの美しい村
● レ・ボー・ド・プロヴァンス Les Baux-de-Provence
「フランスの最も美しい村」のひとつに選ばれている、奇岩の上に築かれた村。中世では城塞都市として栄華を誇り、白い石灰岩の岩山の上に残る城壁の廃墟が独特な景観を作り出しています。岩山の頂にある城塞跡からは、晴れた日にはアフリカ大陸まで見渡すことができます。美しいルネッサンス建築が並ぶ村では、個性的な美術館やギャラリー、可愛らしい雑貨屋さんがあちこちに。
● エクス・アン・プロヴァンス Aix-en=Provence
美しい並木通りにフランスらしい洗練された雰囲気が漂うエクス・アン・プロヴァンスは画家セザンヌが生まれ、生涯を過ごした町でもあります。サント・ヴィクトワール山など、故郷の自然を生涯のテーマとして描き続けたセザンヌのアトリエや、作品を所蔵するグラネ美術館などで、セザンヌの軌跡をたどることができます。
● アルル Arles
ゴッホが魅せられたプロヴァンスの明るい光にあふれる風景、鮮やかな色彩、生命力に満ちた人々。
跳ね橋やフォーロム広場のカフェなど、随所に作品のモデルとなった風景を目にすることができます。ゴッホの代表作の多くはアルル滞在時に生み出されました。
また、ローマ帝国時代から商業都市として栄えたアルルには古代劇場や円形闘技場、浴場跡など、多くの古代ローマ遺跡が残ります。フランス最大の闘技場である円形闘技場では現在も闘牛が開催されています。
古代と中世の面影を残すプロヴァンス
紀元前からの古い歴史を持つプロヴァンス地方。紀元前2世紀にはローマ帝国の支配下に入り、各地にローマ都市が築かれました。ローマ遺跡が数多く南仏に残っているのはそのためです。中世にはアヴィニョンに法王庁がおかれ、カトリック世界の中心として栄華を誇りました。
● ポン・デュ・ガール Pont du Gard
緑深い谷を流れる川にかかる巨大な水道橋が 世界遺産のポン・デュ・ガール。古代ローマ建築の素晴らしさもさることながら、大自然と遺跡の調和した景観の美しさは圧倒的です。古代の建築物でありながら、近年の大洪水の際にも全く影響を受けなかったという逸話も。
● アヴィニョン Avignon
ローヌ川のほとりに佇むアヴィニョンは14世紀に法王庁がおかれた町。当時の繁栄を今に伝える法王庁宮殿は世界遺産に登録されています。街のシンボル、サン・ベネゼ橋は童謡でも有名。7月に開催される演劇祭の期間中は街中でパフォーマンスが行われ、華やいだお祭りムードで賑わいます。
花咲くプロヴァンスへ
ラベンダー畑の中のセナンク修道院
春の訪れを告げるレモンイエローのミモザ、白い可憐な桜の花に似たアーモンド、プロヴァンスの大地を情熱的な色に染めるヒナゲシ、そして紫のじゅうたんが広がるラベンダー。
プロヴァンスでは色とりどりの花が咲き誇り、野山や人々の生活を鮮やかに彩ります。
コート・ ダジュール
太陽に愛された地中海の紺碧海岸
碧い空、碧い海。ヨットの白い帆とカラフルなパラソル。ニースを中心とするコート・ダジュール地方は、陽光降り注ぐ上品なフレンチ・リゾート。カンヌ映画祭やモナコなど、世界のセレブが集う地域でもあります。海岸から内陸に目を向ければ、チャーミングな中世の村と花が咲き乱れる色鮮やかな風景が広がります。
「紺碧の海岸」を意味するコート・ダジュールはその名の通り、碧い空と地中海に抱かれたフランスが誇るリゾート地。一年を通じて温暖な気候で、古くから王侯貴族の保養地として発展してきました。
● ニース Nice
「天使の湾」と呼ばれる湾曲した美しい海岸線に陽光が降り注ぐコート・ダジュールの中心都市ニースは、19世紀から高級避暑地として栄えてきました。リゾートらしい雰囲気に包まれる海辺の散歩道、プロムナード・デ・ザングレや、ベルエポックの華やかな建築、カラフルな家が立ち並ぶ旧市街の路地など、開放的でエキゾチックな魅力に溢れています。
● カンヌ Cannes
優雅な地中海リゾート、カンヌを知らしめているのが毎年5月に開催されるカンヌ国際映画祭。数ある世界の映画祭の中でも最も注目度が高く、権威のある映画祭の開催中は多くの映画スターが集い、街中が華やかなお祭りムードに包まれます。会場となるパレ・デ・フェスティバル・エ・デ・コングレではスターたちの手形やサインが刻まれています。
● サン・ポール・ド・ヴァンス Saint Paul de Vence
数ある鷲の巣村の中でも、最も人気のある村のひとつ。豊かな自然に囲まれ、中世の美しい佇まいを残した村はマティスやシャガール、モディリアニなど多くの芸術家たちに愛されてきました。城壁に囲まれた村の小さな路地を気の向くままに散策してみましょう。小路の両側にはギャラリーやアトリエが並び、足元を見れば石畳もアート。お店やレストランの看板もお洒落。古き良き中世の面影と共に、洗練されたアートの香りを感じることのできる村です。
コート・ダジュール地方に多く見られる、丘の上に民家が集まる村。鷲が巣を作っている様子に似ていることから、「鷲の巣村」と呼ばれています。中世の面影を残した美しく素朴な街並みや景観の素晴らしさで人々を惹きつけています。
南仏から足をのばして
● カルカッソンヌ Carcassonne
フランス国内ではモンサンミッシェルに次いで年間来訪者が多い人気の観光地。ドーヌ川右岸の丘の上に堂々とそびえる城壁に囲まれたシテと呼ばれる地域は、「歴史的城塞都市カルカッソンヌ」として世界遺産にも登録されています。全長3kmにも及ぶ城壁はヨーロッパ最大規模で、その威容は中世の頃そのまま。城壁内には、天守閣が残るコンタル城、ステンドグラスが美しいサン・ナゼール寺院などがあります。