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3月3日、ミラノの閑静な山の手に位置するマダムの家に伺いました。
24歳の美しい令嬢のために準備された雛壇。随分前に有名な業者に発注、成田まで搬送後、自力でミラノまで持参したとの事、母のなせる業です。ミラノの地でこの上なく立派な雛人形を拝見するのは不思議な喜びです。
ひな祭りという事で時間をかけて拵えた料理に堪能。日常、自分の周りには(自分も含め)15分で食べてしまうものに何時間もかけて料理など考えられない、というキャリアウーマンが多い中、愛情一杯の一皿ひとさらで、幸せなひとときとなりました。
牛タンや手鞠寿司、味の滲みた稲荷寿司など。
牛スジの煮込やがんもどき。近年ミラノでは日本食材が、わりと豊富に揃うようになったことは朗報で、自宅でも本格的な懐石料理を楽しめる昨今。今後ますますミラノは国際都市のトップレベルを牽引していくのでは、と思われます。
椎茸の出汁を使ったお味噌汁。
デザートは、パティシェの経験がある婦人持参の手づくりケーキ。
バスチー(バスク風チーズケーキ)といって、チーズケーキの王様らしい。味はもちろん圧巻の一言。
イタリアには桃の節句というのはないが、あと数日で迎える3月8日は女性の日。
フェスタ デッラ ドンナ(festa della donna)と言い、その日は町中がミモザで一杯になり、女性に様々な特典が与られます。
丁寧に飾られた雛壇も、翌日4日には直ぐ撤去する手筈になっている様。雛人形はひな祭りのあと、直ぐに片付けないと婚期が遅れるという言い伝えがあるのは衆知の通り。
美しい御息女は不在でしたが、ロマンスグレーの伴侶が帰宅。イタリア男性の中には「君の好きにして良いよ」というダンディ派も少なからずいる。マダムの支えは、この寛大で優しいbetter half。
誰も見ていないところで時間をかけて愛情のある料理を作る、それが普通の事で何の苦にもならない。そう、大和撫子です。
日本には誇れるものが結構ある。
因みにマダムは北イタリア日本人会のなでしこ会にも尽力しているとの事。
日本からの駐在の奥方たちもマダムに癒されているに違いない。
ミラノで無二のひな祭り、心のこもったおもてなしで至福の時間を過ごしました。
世界に誇れる日本女性此処にあり。
文・写真 waki
編集 K.Harada
【イタリア】ミラノマダムのひな祭り
2022-03-04
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