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イタリアソムリエ協会のマスター・ソムリエの資格をもつ うしおゆにこ です。
今回は、イタリアで最良のワインを造っているピエモンテ州の第1回目です。
秋、いよいよ赤ワインの美味しい季節です。
日本で、頭文字を取って「3Bワイン」と呼ぶワインがあります。
ーバローロ Barolo(ピエモンテ)
ーバルバレスコ Barbaresco(ピエモンテ)
ーブルネッロ・ディ・モンタルチーノ
Brunello di Montalcino(トスカーナ)イタリアの3大ワインですが、うち2つを生産しているのがピエモンテ州。
DOCGの数は18(保証付原産地統制呼称、イタリアで最も多い)、DOC(原産地統制呼称)は50以上です。
ピエモンテ州の州都はトリノ。
「山の足」という意味のピエモンテ州はアルプスの麓に位置し、2006年、トリノで冬季オリンピックが開催されたことは記憶にあるのではないでしょうか。
ミラノからトリノまでは、ユーロスターで1時間。
イタリア王国時代のイタリア王の家柄、サヴォイア家のトリノの王宮、高くそびえるラ・モーレの塔の映画博物館、世界で2番目の規模を誇るエジプト博物館など、見どころは沢山あります。
さて、ピエモンテ州のキーワードは以下です。
* バローロはイタリアワインの王様
* ランゲ地方はイタリアワインの聖地
* ネッビオーロ、バルベーラ、ドルチェットの品種の名前を覚えよう
イタリアワインの聖地、ランゲ地方は、ユネスコの世界遺産にも登録されていますが、美しい丘が連なる見事な丘陵地帯です。
中心の町、アルバは、とても小さな町なのですが、イタリアワインが好きなら、ぜひ一度は訪れてください。
できれば、秋。
白トリュフ市が開かれ、白トリュフに目が無いグルメが世界中から集まってきます。
このランゲ地方で、バローロとバルバレスコが生産されています。
イタリアワインの王様は、バローロ。
バルバレスコは、王様の弟格。
この2つを、比較しながら見ていきましょう。
どちらも品種はネッビオーロ種で、100%使用。もちろんDOCG。
どちらの名前も、地名から来ています。
熟成年数には違いがあり、以下。
バローロ(最低38ヶ月の熟成、うち18ヶ月が木樽) リゼルヴァ(同じく 62ヶ月、18ヶ月)
バルバレスコ(最低26ヶ月の熟成、うち9か月が木樽) リゼルヴァ(同じく 50ヶ月、9ヶ月)
つまり、同じヴィンテージだと、バルバレスコの方が1年早くリリースされます。
この地域は、畑の個性が重視されていて、それぞれ、畑名が記載されたものも非常に多いです。
つまり、バルーロ、バルバレスコだけの記載だといくつかの畑のブドウをブレンドしたもので、さらに畑名が記載されたものは、シングルヴィンヤードのワインです。
バローロの生産地域は比較的広く、生産者も多く、名前がついている畑の数も多く、細かく見ると土壌に大きな違いがあるため、地域によって味わいが全く違ってきます。
同じバローロでも、比較的早く熟成するやわらかいタイプになったり、いかにもワインらしい風格を持つ、堅く、長期熟成に向くタイプになったり、畑の場所によって特徴が大きく違うのです。
対して、バルバレスコはブドウの作付け面積が少なく、生産者も少なくなります。
土壌にバローロのような大きな変化がないため、個性の違いが比較的少なく、品質が安定していると言われています。
どちらも、落ち着いた色合いのガーネット色、うっすらと透明感があり、香りは森の木の実、スパイス臭などが複雑に絡み、熟してくると、革の香り、腐葉土などがきれいに出てきます。
ワインらしい酸味(赤ワインにしてはやや酸味あり)、タンニンがしっかりと感じられ、風味豊かな、王者、王様の弟の風格を持ったワインです。
さて、一般的に、若干軽めのバルバレスコの方が少し安いですが、値段もイタリアワインの王様格。
そこで、少し節約したい場合は、ネッビオーロという記載が入っているワイン(DOC)を探してみてください。
通常、一つのワイナリーで、バローロまたはバルバレスコに、リゼルヴァ、いくつかの畑名入りワイン、そして、一つ下のランクのネッビオーロを造っています。
良いワイナリーのネッビオーロは間違いなく美味しく、値段もほどほどなので、とても嬉しいワインです。
さて、次は、ベルベーラ種のワインです。
ランゲ地方のアルバと、その隣のアスティで、特徴ある2つのバルベーラ種のワインが生産されています。(もちろん、他の地域のバルベーラも沢山あります)
バルベーラ・ダルバ(DOC)とバルベーラ・ダスティ(DOCG)。
バルベーラ種からは酸味が非常に強いワインができますが、アルバの方では小さな樽で熟成させるなどして、酸味を抑えたやや濃厚な仕上がりにすることも多く、アスティでは、木樽を使わず軽めで爽やかなタイプのワインを造ることが多いです。
同じ地域で生産されているもう一つの品種ドルチェット種を見てみましょう。
ドルチェはイタリア語で「お菓子」や「甘い」という意味なのですが、酸味が少なくほろ苦いような味わいです。色が非常に濃く、赤紫を帯びた色合いが特徴的です。
通常ドルチェットに地域名がついてワインの名前になりますが、DOCGのもの、DOCのものなど様々です。
合わせる料理は、どのワインも、ワインのランクやボディに合わせて前菜からメインまで、肉料理中心で選んでください。
サラミから、地元のパスタ、タヤリンのラグーソース、贅沢に白トリュフ料理など。
料理に使うのは勿体無いですが、バローロ煮込みにバローロだとパーフェクト。
ランゲ地方とその周辺は、まだまだ他にも栽培品種があり、白も含め多くのワインが生産され、非常に複雑、語り出すと止まらない…のですが、さわりだけ。
次回は続きです。どうぞお楽しみに。
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2021-12-01
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