【2022年イタリア観光】ヨーロッパ文化遺産の日!ドラッグストア・ミュージアムとは? みゅうローマ みゅうベネチア ブログ記事ページ

みゅうローマ みゅうベネチア ブログ

<< 前のページ 次のページ >>

    【2022年イタリア観光】ヨーロッパ文化遺産の日!ドラッグストア・ミュージアムとは?


    2021-10-08

  • ~ドラッグストア・ミュージアム??!~

     

    ローマより発信、カシワタニです。


     

    先日9月25・26日は、ヨーロッパ文化遺産の日

    ( 英:European Heritage Days)でした。

     

    毎年9月第3週頃の週末に行われるイベントで、普段見学不可能な考古学地区や歴史的建造物の一部を無料で公開したり、通常入場料がかかる施設が無料又は割引になったり、特別見学ツアーが開催されたり・・・と、多くの文化遺産を誇るヨーロッパならではのイベントです。

     

    そもそも普段から一般公開している遺跡や美術・博物館施設だけで相当数なうえ、そのレベルも圧倒的に高いイタリアですが、さらに特別公開する場所がまだまだこんなにあるなんて!一体どれだけの量の文化財を隠し持っているのだろう?と、驚くばかりです。



    前置きが長くなりましたが、今日はこのイベントで出会った面白い博物館を紹介します。



    その名は

    “ドラッグストア・ミュージアム”(Drugstore Museum)!



    現在は特別な時にしか開館しませんが、

    「近い将来、早ければ年内から通常開館する可能性がある」

    という話なのです。

     

    ドラッグストアという名前からは全く想像がつかない、行ってみてビックリ!の、とても興味深い博物館でした。



    ローマで有名なポルタポルテーゼ蚤の市から南へ約3キロ下った、ポルトゥエンセ通り317番地( Via Portuense 317)に博物館はあります。

     

    元々この通りは、紀元後1世紀にクラウディウス帝によって建設されたオスティアの港(現在のフィウミチーノ空港辺り)と、ローマ中心部を結ぶ幹線道路として造られた通りです。港はイタリア語でPortoポルトラテン語でPortusポルトゥスと言います。

     

    ポルトゥエンセPortuenseという通りの名前からも、「港へ通ずる道」ということがわかりますね。

     

    もちろん現在もフィウミチーノ空港周辺とローマ市内を結ぶ重要な幹線道路の一つです。

     

    そんな交通量が多い道路脇の商業施設の一角に、博物館はありました。



    実はこの辺り一帯、古代は「ネクロポリ」、つまり「墓地」として利用されていたのです。

     

    エリア開発のための工事が始まった60年代半ば、現在の博物館がある場所に、古代の墓第一号が発見されました。

     

    80年代より本格的な発掘が始まり、紀元後1世紀後半~4世紀のローマ時代の墓が全部で5つ、発見されたのです。

     

    建物の建設は続き、発見された墓群はそこに建てられた「ドラッグストア」という名前のスーパーマーケットの敷地内に組み込まれました。

     

    つまり、当時はスーパーで古代の墓を横目にお買い物ができていたのです!

     

    なるほど~!

    博物館の名前はここにあったスーパー「ドラッグストア」に由来しているのです。

     

    しかしスーパーはその後倒産、2005年にローマ考古学文化財監督局がこの場所を博物館にすることを決定、2015年までに修復と工事を行い、一般公開が始まりました。

     

    2019年の更なる改良工事を経て、「モダンな館内に古代の墓」、という、なんとも不思議な空間が生まれたのです。


    写真上:展示場の入り口

     

    中へ進むと・・・ドドーン!と中心にコレです!お墓です!




    写真正面奥は、凝灰岩を掘って造られた3世紀初めのファミリーの墓です。

     

    四角い部屋の周りに石棺骨壺を置くスペースがあり、天井の装飾は花模様、壁龕にはフレスコ画漆喰装飾、ブドウの収穫をテーマにした白黒モザイクの床・・・

     

    大変豪華です。

    明らかにお金もちファミリーだったことがわかりますね~

     

    写真上:床モザイク



    写真では少ししか映っていませんが、前述のファミリーの墓の手前右側にアーチ型の穴が3つ見えます。

     

    これはコロンバリオというタイプの墓で、それぞれの穴に遺灰の入った骨壺を収める、いわゆる「納骨堂」です。

     

    コロンバリオは、火葬が主流であった紀元前1世紀半ばから紀元後1世紀にかけて特に普及したタイプの墓ですが、ここポルトゥエンセ一帯のコロンバリオは、1世紀後半から3世紀初め頃まで利用されていました。

     

    この墓タイプのメリットは、何といっても経済的、そして場所を取らないことです。

     

    ローマの人口増加にともなう墓のスペース問題解決にも繋がっていました。


    液体運搬用の壺「アンフォラ」の展示や

     

    墓からの出土品の展示があります。



    その他、新石器時代(紀元前3700~2300年頃)の「戦士の墓」と呼ばれる25歳くらいの若者の墓も展示されています。

     

    このように小さいですが、アッと驚く一見の価値あり!の博物館です。ポルトゥエンセ周辺はネクロポリだけでなく、古代ローマ時代の公衆浴場も発見されています。

     

    こちらは絶賛発掘中なので、見学が解禁になるのはまだまだ先になりそうですが、今後がとても楽しみなエリアです。



    Drugstore Museum

    Via Portuense 317 

    https://www.soprintendenzaspecialeroma.it

    *開館情報は要確認


<< 前のページ ブログ記事一覧へ 次のページ >>

最新記事