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    イタリア芸術を観る。レオナルドの受胎告知と師匠ヴェロッキオ


    2020-12-01

  • ボンジョルノ!フィレンツェのガイドの伊藤裕紀子です。




    今日はウッフィツィ美術館に展示されているレオナルド·ダ·ヴィンチの「受胎告知」について書きたいと思います。







    この「受胎告知」はレオナルドが単独で描いた最初の作品です。

     

    以前はドメニコ·ギルランダイオの作品とされていましたが、現在ではぼとんど異論なくレオナルドの真作とされています。




    当時レオナルドはヴェロッキオの工房で働いていて、ヴェロッキオ作「キリストの洗礼」(1472年頃)の中の天使像を描きました。つまり師匠との共作になります。

     

    そちらとほとんど同じ時期に描いたのが「受胎告知」です。




    厳格な遠近透視図法を用いた構図。密度のある細部の描写。知的な高貴さが漂う人物像。

     

    背景には空気遠近法が使用され、遠くが青く霞んで見えるため、光の反射や大気の状態が意識されているのがわかります。




    マリア様が本を広げている書見台の大理石装飾に注目してみましょう。

     

    ライオンの足のような獣足脚、そして植物が脚の上でくるりと曲線を描いています。







    これが当時、師匠のヴェロッキオが制作中であった「ピエロおよびジョヴァンニ·デ·メディチの墓碑」の細部と酷似しているんですね。




    といっても違う場所にあるのでなかなか見比べることができないのですが、今日はそれぞれの場所で撮ってきた写真を見比べてみましょう。




    師匠のヴェロッキオはメディチ家の庇護を受けるようになって、墓碑を制作します。

     

    ピエロはあのロレンツォ豪華王の父親です。痛風で苦しんでいたので「痛風のピエロ」なんてありがたくない渾名で呼ばれる人物ですね。

     

    墓碑はサン·ロレンツォ聖堂の中にあり、旧聖具室とサクラメント礼拝堂を隔てる壁に設置され、両方の部屋から鑑賞できるようになっている変わった墓碑です。




    その墓碑の足の部分がこちら。確かにレオナルドが描いた書見台の足とよく似ていますね!







    制作された年は

     

    1470~72年 「ピエロおよびジョヴァンニ·デ·メディチの墓碑」

     

    1472~75年頃「受胎告知」




    なるほど師匠の作品からインスピレーションを得たと言われるのがわかります。







    時間があれば2カ所とも訪れてみて、直に師匠と弟子の作品を見比べてみてくださいね。


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