フィレンツェの町を歩いていてふと目につくもの 2 みゅうローマ みゅうベネチア ブログ記事ページ

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    フィレンツェの町を歩いていてふと目につくもの 2


    2020-10-23

  • 皆さんこんにちは!フィレンツェ公認ガイドの福島久子です。

     

    こちらも実は最近気になったものですが、建物の角に変な小さなブロンズ像があります。

     

     

    よく通りかかっていた道ですがあまり気にしたことがありませんでした。しかし近くで見てみるとなんか不気味。。。

     

     

    調べてみるとジャンボローニャが作った(小悪魔)と呼ばれているブロンズ像のコピーでした。本物は現在バルディーニ美術館にあります。

    これは元々旗を立てかけておく支えの為のもので、この宮殿の所有者であったベルナルド ヴェッキエッティ (Bernardo Vecchietti)がジャンボローニャにある奇跡を記念して作らせたものです。

     

    実は2つ作ったようなのですが、現在残っているのは一つになってしまいました。

     

     

    ヴェッキエッティ家はダンテの神曲天国編にも出てくる、中世からの重要な貴族の一族です。

     

    この宮殿は1578年にベルナルド ヴェッキエッティ がジャンボローニャに改修を頼んだ宮殿ですが、彼はこの宮殿以前にあった美しい中庭をそのまま建物に取り組みます。

     

     

    しかし現在、昔のまま残っている部分はヴェッキエッティ通りの長い正面だけとなりました。他の部分は1800年代に一部壊されたり改修されてしまいました。

     

    その奇跡とは。1245年、メルカートヴェッキオ(Mercato Vecchio)と当時呼ばれていた現在の共和国広場で、殉教者聖ペテロが異端者に対する説教をしていた時に、それを聞きに来ていた群衆を脅かし、分散させるために狂った黒い馬に似た姿をした悪魔が現れました。

     

    ドメニコ派の聖ペテロは危険を察知して、手を挙げて馬の前で十字架の形を型どると、ヴェッキエッティ宮殿の角で馬は止まり、そのまま消えてしまったと言われています。

     

    ジャンボローニャはこの奇跡の話からヒントを得てこの作品を作ります。

    この小悪魔の彫刻はフィレンツェに着いたばかりのジャンボローニャを、彼らの宮殿に迎えてくれたそのお礼の意味でも作られたのではないかと考えられます。

    ヴェッキエッティはジャンボローニャの保護者でもありました。  

     

    ちなみにこのジャンボローニャという彫刻家はフランドル地方、現在のフランスで生まれ、1550年にローマに移り住み、特に古代の彫刻について学びます。

     

    特にミケランジェロに影響を受け、1553年にフィレンツェに移り住み死ぬまでフィレンツェにとどまります。メディチ家の重要な宮廷彫刻家の一人となります。

     

    例えばシニョリーア広場のコシモ一世の騎馬像、ロッジャにあるサビーナの略奪や、サンテッシマ、アヌンチャータ広場の フェルディナンド1世の騎馬像も彼の作品です。  

     

    現在この宮殿はホテルと銀行が入っていますが、こういう何気なくある物にもそれぞれ歴史があって面白いですですね。


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