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    ウッフィツィ美術館でイタリア芸術の秋を感じる「ボッティチェッリ・もう1枚の東方三博士の礼拝」


    2020-11-12

  • ボンジョルノ!フィレンツェのガイドの伊藤裕紀子です。

    10月終わりにウッフィツィ美術館に行ってみたところ、いつもボッティチェッリの「東方三博士の礼拝」が展示されている場所に見慣れぬ作品がありました。



    係員に聞いてみたところ、元の作品は香港での特別展のため貸し出し中とのこと。

    代わりに置かれている作品も、ボッティチェッリの同タイトルの作品でした。
    こちらは見たことがないのでかえって新鮮。

    【東方三博士の礼拝】
    「東方三賢王の礼拝」「マギの礼拝」とも呼ばれる新約聖書の場面です。
    ユダヤの王を捜して東方から星に導かれてやって来た三博士(マギ)は、ペルシア宮廷に仕える占星術師たちでした。
    彼らはヘロデ王の配下からベツヘレムに向かうようの指示を受け、彼の土地で誕生した救世主の御子に出会います。そして黄金、乳香、没薬の3つの贈り物を捧げました。

    普段ウッフィツィ美術館でみることができるボッティチェッリの「東方三博士の礼拝」は1475年ごろの作品で、メディチ家のメンバー(コジモ、ロレンツォ、ジュリアーノ)がイエスを取り巻く人々のなかに書き込まれています。

    そして現在展示されている作品は1490~1500年ごろの作品ということで、もっと後年の絵画です。ドメニコ修道会のサヴォナローラの説教の影響から、神秘主義へと傾向していったボッティチェッリ。
    制作活動の最終フェーズの作風へと移行しているのがわかります。

    多くの人々を引き連れた三博士は聖母マリアに抱かれたキリストに出会い、その前に跪いています。



    この作品はボッティチェッリが完成できなかったらしく、マリア様の部分には17世紀ごろに筆が付け加えられています。





    背景の人間や岩には色が塗り重ねられていないことがわかりますね。





    同じ芸術家でも初期、盛期、晩年と作風が変化していく様子が見受けられることが多いのです。


    ドナテッロやミケランジェロ同様、ボッティチェッリも後年にキリスト教の精神へ帰依していく、その経過を見るのはとても興味深いですね。


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