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ボンジョルノ!フィレンツェのガイドの伊藤裕紀子です。
以前、お客様に「心霊スポットを案内してください」とリクエストを頂いたことがあります。
しかし私は霊感0なので、有名な幽霊話がある場所をご案内差し上げました。
それがサンティッシマ・アンヌンツィアータ広場に面したブディーニ・ガッタイ宮殿です。
16世紀にバッチョ・ダーニョロが設計し、アンマンナーティが完成させた宮殿です。アンマンナーティはミケランジェロの設計からインスピレーションを受け、ガッタイ宮殿の建築に役立てたと言われています。
この建物の三階、一番右の窓をご覧ください。よろい戸が半分折り曲げて開いています。
この内側の窓がいつも開けたままになっているんです。
この窓に関して二つの言い伝えが残っています。
【伝説1】
ある貴族の女性がこの窓から外を眺め、恋人が戦争から帰ってくるのを待っていたそうです。窓の横に椅子を置き、縫い物をしながら、くる日も来る日も…
しかし恋人は帰ってこず、女性はその部屋にこもって死ぬまで離れませんでした。
彼女の遺体が部屋から運び出された後に、親族がその窓を閉めようとすると大きな音がして、親族は窓を再び開けざるをえなかったそうです。
それから窓はいつも開けられ、よろい戸も半分開けられて、広場が見下ろせるようになっています。
【伝説2】
宮殿前の広場にはメディチ家の当主フェルディナンド1世の騎馬像があり、その視線がちょうどこの窓に向いています。
実はこの部屋にフェルディナンド1世の恋人が住んでいました。
女性には夫がいましたので、つまりはフェルディナンドと不倫関係だったのです。
夫は女性がこの窓を開くことを禁止していました。
たとえブロンズ製の騎馬像とはいえ、妻が恋人をうっとりと眺める姿を見たくなかったのでしょう。
伝説2から伝説1が生まれたとされますが…
この建物が16世紀に建設された時は2階建でした。3階は18世紀に増築されてできたので、伝説2もありえないのですね。
どうやら館の主人の奥さんの不倫騒動が、伝説2の由来なんだそうです。
とにかくも3階の窓がいつも開いているのは真実なので、宮殿前を通りかかる時にこんな話をしてみるのも面白いですね。
幽霊がたたずむ窓
2020-10-27
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