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ローマの公認ガイド原井です。
私がローマに来た頃、と言うと27年ほど前だが、ローマに日本食レストランは4軒しかなかった(と思う)。
一つは超大衆的なレストランで照明器具はチョウチンだった。ローマはカフェでさえもシャンデリアが使われていたりする所なのに、こんな外国に来てまでみすぼらしいからやめてもらいたいと思いきや知らないうちに消滅していた。
もう一つは名前も知られた高級レストラン、、っていうか高価なレストラン。一人だったので寿司カウンターに座ろうと思って行ったのに、私はメートルディにそそくさと狭いテーブル席に案内された。
下手に派手な着物を着たウェートレスはいくら呼んでも気付いてくれないほど他のウェーターと盛り上がっていた。ただのスノビッシュなレストランで二度と行かないと思ってたら、間も無くつぶれた。
結局、残りの二つのレストランが27年経った今でもローマで健在なのだが、そのうちの一つは、今でも私の行きつけのレストランになった。
そこが選ばれた理由は、味(普通に美味い)、店のデザイン(近代的な日本風)、場所(街中)、雇われている人の感じ良さ、それに何と言っても店内に置かれている生花のセンスが素晴らしいからだ。
なんとイタリア人のイケバニストで、毎週二回イけにくる。レストランはただ食べるだけではないのである。
それにしても海外で日本食レストランをやって生き残るのも大変な事だ、と言いたいところだが、、、
実は今やローマに日本食レストランは、数え切れないほどある。
テレビでもよく日本食について紹介されたり、私が行きつけのレストランもテレビで放送されたりして、イタリア人の中でも日本食ブームが起こり、それに乗って多種多様な日本食レストランが生まれては消え生まれては消えしているのだ。
ただその中には怪しいものも少なくない。
名前からして、『日本食レストランXinZhonghua』だとか『JuYing』だとか『Ni Hao』だとか、、、なんて読むのかもわからない事がしばしば(涙)。。
昨日までは春巻きを油で揚げてたコックが、その手で今日は寿司を握っているということのようだ。日本の寿司の伝統は1000年とも言われているのだが、そんなに簡単に生魚などさばいて良いものだろうか。
それでも中には素晴らしいレストランもあったのかも知れないが、私が試しに行ったところはマグロのにぎりのシャリの色が真っ赤に染まってしまっていたり?!魚が変に筋があって噛み切れなかったり!!料理のできない私は寿司ネタが切り方ひとつでこんなに味に影響するなんて初めて知らされた。
他の料理にしても、カツ丼を頼めば天丼が出てきたり、味噌汁が甘すぎたり、とあまり良い経験はなかった。
何をやるのも自由だとは思うが、日本食という名目でレストランを他国で出すのなら、ある程度の修業をするだとかして最低限のリスペクトをして頂きたいものだ。昔はよく新しいレストランができると試しに行ってみたものだが、今やなかなかそんな勇気は出なくなった。
ところが、近頃イタリアでは、そういうなんちゃって日本食レストランでも人気があるレストランがある。
最近若いイタリア人の友達に誘われて、半ば無理やり行ってみた中国系日本食レストランは、天ぷらを裏巻きにしたり、アボカドを使ったりとアメリカ風の寿司なのだが、安くて食べ放題で、結構美味しかったと言わざるを得ない。
別のイタリア人と行ったブラジル風の日本食レストランなどは、南米系のカクテルを飲みながらちょっとお洒落なフュウジョン寿司を食べる的な趣向で、値段は高いが結構楽しむことが出来た。
考えてみたら料理というものは進化して今に至るのであり、これからも進化していくものだ。それを考えると、もしかしたら今から100年後は、中国寿司やブラジルスシ、あるいはスシイタリアーノな~んていう料理が普通に世界で定着しているかも知れない。
ところで、私のローマ暦27年経っても残っている2つのレストランはいずれも『認定本格日本料理店』にローマで選ばれた3店舗の中に入っている。
このうち一番上のが私が言ってた生花のレストラン。一番下のは、10年ほど前にできたレストランだが寿司が美味しいので時々行く。
ただ先に言ったように今や色々なレストランができていて、この3店舗以外にも、日本人がやっているレストランや、そうでなくても美味しくて楽しいレストランもあるので、もし行かれるのであればよくネットなどでお探しくだされ。。
ローマの日本食レストランと、なんちゃって日本食レストラン
2020-10-20
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