-
写真の教会はベネチアのトルチェッロ島にあるサンタ・フォスカ教会。11世紀はじめに立てられた小さな教会で、隣にあるサンタ・マリア・アッスンタ教会に隣接したかたちで造られています。
数年前までは内部にはかつての装飾は何も残っておらず、訪れる人も僅かでしたが、近年は装飾こそ施されていませんが、そしてそのほうがずっとこの小教会の雰囲気にあっているのですが、入り口にも訪問客が入りやすいように案内板が置かれたりして中を覗く人も多くなっています。無料というのも魅力なのでしょうか。
ところでここに祀られている聖女フォスカに関しては歴史的な資料は乏しいのですが、2,3世紀ころの北イタリアに住む異教徒の一人で、彼女の教育係であったMauraとともに15歳のころに家族の反対を押し切ってキリスト教に改宗したため、父親がローマの代官に訴えて二人とも拷問にあったうえ、わき腹を刺されて殉教したと聖女伝に記されています。
二人の聖女の遺体は北アフリカのリビアの教会に葬られていましたが、11世紀はじめにふたつの聖遺体がベネチアの船乗りVitaleによってイスラム教徒が支配するLibiaからトルチェッロに運ばれました。このへんはベネチアの守護聖人であるサンマルコのお話に良く似ています。
その後、聖女マウラの遺体はミラノにあるルルドの聖マリア教会に移されました。
トルチェッロの島を訪れる際には是非この教会も覗いてみてください。誰も居ない時には簡素なその静けさに安らぎを覚えることでしょう。
トルチェッロのサンタフォスカ教会
2016-04-13
最新記事