-
フランスといえば、料理、ワイン、など多くの名産品が浮かびますが、忘れていけないのは、チーズ。日本人の魂フードがラーメン(?)であるとすれば、フランス人は、チーズでしょう。日本に住むフランス人の友人に、何が恋しくなりますかと聞いてみたら、1位は家族、2位はチーズと答えたくらい。
フランスに来たからには、チーズをたくさん食べて頂きたい、というのも、同じものを日本で買ったら、5倍以上の値段になることもしばしばあるからです。
では、買おうとおもってチーズコーナーに行ってみると、驚きます。大型スーパーに行くと、大小さまざまなチーズであふれていて、何を買っていいのか分からない。
そもそも、チーズといえば牛のミルクだけじゃありません。フランスにはヤギのチーズも、羊のチーズもたくさんあります。羊のチーズなんて、聞いたこともない、と思われるかもしれませんが、青カビチーズで有名なロックフォールチーズは、羊のミルクでできています。
どうしても、知らないものには手が伸びない。人ですから、そういうことはありますが、せっかくフランスの異国の地に来たのでしたら、日本ではなかなか食べられないものを食べて頂きたい。ということで、今回は、ヤギのチーズ、クロタン・ド・シャビニョルを紹介します。
これが、クロタン・ドゥ・シャヴィニョル。コロコロとしたチーズです。
クロタン・ドゥ・シャヴィニョルは、ロワール地方に位置する小さなシャヴィニョル村で作れています。クロタン(CROTTIN)という名前は色々と説があるそうですが、コロンとした丸い形をしているところから、馬や羊の糞という意味のクロット(CROTTE)から来たのではないかといわれています。
ロワール地方では、16世紀ごろからヤギの牧畜の記録があるそうですが、クロタン・ドゥ・シャヴィニョルが歴史に登場するのは、19世紀です。19世紀後半、フィロキセラというブドウの樹につくアブラムシが登場しました。この虫は、品種改良のためにヨーロッパへもってきたアメリカ原産のブドウ樹に付着していたのですが、この虫に対する抵抗力がないヨーロッパのブドウは、ほぼ全滅。ワイン処でもあるロワール地方でも同様に多くの畑が失われます。そこで、使い物にならなくなったブドウ畑に、ヤギを放牧してチーズ作りが盛んになったという背景があります。
濃厚なチーズですが、あまり癖がないのでチーズの匂いが苦手、という方でもおいしくいただけるのではないでしょうか。
よく見てみると、真っ白のものもあれば、黄色くなっているもの、さらには、青カビらしきものがついているものもあります。これが、いわゆる熟成度合です。チーズは、ワインと同じく生き物ということでしょう。チーズをどのタイミングで食べるかによって、そのチーズの味はすごく変わってしまうのです。チーズの味は、熟成によってあまりにも左右してしまうので、チーズを熟成させる専門家、熟成士なる職業もあるほどです。
若いうちは白くやわらかいのですが、熟成が進むと硬くなります。味は、フレッシュクリーミーな味が好みであれば、若いものを、うまみがギュッと詰まった深い味わいがほしければ、熟成したものを選ぶといいでしょう。ただお勧めは、熟成度合の違うものを全部買って、食べ比べをしてみることです。それぞれのチーズには、どんなワインが合うかな、なんて考えるのもとっても素敵です。
もちろん切ってそのまま召し上がってもいいのですが、薄く切ったフランスパンに、カットしたクロタン・ドゥ・シャヴィニョルをのせて焼いたものを、サラダと一緒に食べる「クロタンサラダ」は非常に有名です。
私のおすすめは、フランスパンに、カットしたクロタン・ドゥ・シャヴィニョルをのせて焼いたものに、はちみつをかけるというもの。小腹がすいたときのおやつに最適で、フランスにいる幸せを感じることができます。
さて、このチーズ、AOP(EU統一の原産地呼称保護)に登録されています。このAOPというのはフランスの法律で規定されたもので、特定の条件を満たしたものにのみ付与される品質保証のことです。フランスの法律では、AOCの基準を満たさないものは、AOCで規制された名称で、製品を製造または販売することは禁止されています。
つまり、クロタン・ドゥ・シャヴィニョルと名前が付いたものは、その品質が保証されているということで、どんなに同じような味・形のチーズを造れたとしても、勝手にクロタン・ドゥ・シャヴィニョルと名前を付けて売ってはいけないというわけです。
チーズ屋さんで見つけたら、ぜひ手に取ってみてください。
渦
みゅうのツアーでは、AOP「クロタン・ドゥ・シャヴィニョル」を扱う専門店に皆さまをお連れするツアーもありますよ!ロワールのサンセールワインとおいしいチーズを堪能してください!
パリ発
サンセールワインの試飲付 ! AOPチーズとエッフェル設計の運河橋 1日観光 昼食付
クロタン・ド・シャビニョル
2017-05-15
最新記事