-
2020年12月5日にユングフラウ地方にとっては記念すべく日となったことは間違いはないでしょう。建設費が500億スイスフランに近いと言われているVプロジェクトの一環である新しいゴンドラリフト、アイガーエクスプレス「Eiger Express」のデビューの日でした。
Vプロジェクトとはグリンデルワルトグルンドを拠点とした2つのケーブルカーから構成されている乗り物システムです。まず青色の部分ですが、グルンドとメンリヘンを結ぶゴンドラリフトです。こちらは新しいものだというよりは以前にあったものが古くなってきた為に2018年に工事が始まって、2019年12月に新しいゴンドラに切り替えました。もう一つのケーブルカーが赤い部分で今回に紹介するアイガーの北壁の真下を通過して、グルンドとアイガーグレッシャーを結ぶアイガーエクスプレスです。
ちなみに当初(2011年)は別のプロジェクト(Yプロジェクト)がありました。アイガーグレッシャーではなくて電車でもアクセスできるクライネ・シャイデックを結ぶ企画でした。早くも2012年に白紙されて、完成したVプロジェクトが本命となりました。
アイガーエクスプレスは3Sゴンドラリフトです。3Sゴンドラリフトとはゴンドラリフトと交走式ロープウェイそれぞれの利点を併せ持つ乗り物です。スイスでいえばツェルマットの近くあるトロッケナー・シュテクとクライン・マッターホルンを結ぶ世界一高いケーブルカーも同じ技術を利用しています。元々インターラーケン近くの町、トゥーンにあったロール・トランスポート・システムズという会社が開発した革命的な技術です。3本のロープで構成されていて、従来の交走式ロープウェイと比べて、次のような利点があると言われています。
強風での安全性
より高い地点に建設可能
高速運転
大人数乗車可能な大型搬器
アイガーエクスプレスは44個の26人乗車可能なキャビンで構成されています。スキーリフトとしての貢献も期待できますが、それよりはユングフラウヨッホへのアクセスは早くなることは大きな進歩です。今でも利用可能ですが、以前はクライネ・シャイデック経由での鉄道利用だと1時間15分位は必要でした。今回の新しいゴンドラだと45分強です。アイガーグレッシャーとユングフラウヨッホ間は従来通りの電車に乗りますが、アイガーグレッシャーに乗り換えが便利な新しい駅もできました。
グリンデルワルトグルンドに以前にあった鉄道駅とは別にGRINDELWALD TERMINALという新しい駅ができました。単なる駅というよりは車1000台が駐車可能なパーキング、レストラン、バー、販売店が集約する名の通りの大型ターミナルです。まるで山の空港です。そこからは前述した2つのケーブルカーが出発します。
ちなみにケーブルカー以外にも電車もこの駅で停車します。以前にはなかった停車駅でインターラーケンから来るときにグリンデルワルトの一個手前の駅となります。
電車を降りたら、地下道でケーブルカー乗り場のあるところにすぐ辿り着けてとっても便利です。
メンリヘンへのゴンドラリフトはまだです。今冬は12月12日からオープンします。
Eiger Expressの乗り場です。黄色は予約なしで、緑色のところは予約のあるお客さん専用です。
その少し横にグループ専用のゲートもあります。沢山のスキー客で賑わっていましたが、すぐに乗れました。
ゴンドラの中は広くて快適です。音声案内もあります。
素晴らしい風景が楽しめる乗り物です。動画(音声あり!)と写真は下る時に撮影されています。
右の建物がアイガーグレッシャーの新しい駅です。こちらは標高2300メーターにある建物とは全く思えない立派な建築物です。
その横に以前の駅はまだあります。こちらはクライネ・シャイデックからの電車が着きます。ちなみにアイガーエクスプレスの運休時期(2021年11月1日から11日まで)以外はクライネ・シャイデックとユングフラウヨッホ間の直通の電車はないのでここでの乗り換えが必要です。将来的に直通の電車はあるかもしれませんが、当面はないでしょう。
ここがユングフラウヨッホへの電車乗り場へのゲートです。
ゴンドラ乗り場から歩いて50メーターほどです。もちろん外に出ることなく移動できます。
ユングフラウヨッホへの電車はここで発着します。
アイガーグレッシャー駅にある提示版です。ユングフラウヨッホへの電車は基本的に30分に一本です。冬なのでクライネ・シャイデックは一時間に一本です。夏は直通の電車を含めると2本となります。
序にユングフラウヨッホにも行ってきたのですが、展望台にあった凍ったクリスマスツリーの写真も撮ってきました。素敵ですね。
「スイス」奇跡の新しいゴンドラリフト「アイガーエクスプレス」に乗ってみました。
2020-12-13
最新記事